EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○輸出不振と季節的な生産増加により、チーズ価格が急落


99年に入り、ゴーダ、エダムなどのチーズ価格が急落

 99年に入りEU域内のゴーダ、エダムなどのチーズ価格が急落している。ドイツ
市場価格情報センター(ZMP)によると、ドイツのゴーダチーズ工場出荷価格は、
99年2月以降一貫して低下しており、99年7月には前年同月比16.9%安の5.2マルク
(338円:1マルク=65円)/kgとなった。

◇図:チーズの域内価格◇


ロシア向け輸出の減少と季節的な生産増加が要因

 チーズの域内消費は引き続き堅調に推移しているとみられる一方、域外輸出に
ついては、98年8月以降ロシア向け輸出が急減しており、回復の兆しが見えてい
ない。ロシアはEU産チーズの最大の市場であり、97年には輸出量の39.2%(19万
5千トン)が同国に向け輸出された。EUは、チーズのロシア向け輸出補助金を98
年10月および99年2月に引き上げたが、同国向け輸出量は1月当たり数百トンの水
準に低迷しているとみられる。

 ロシア向け輸出の減少が始まった98年後半は、EUにおいて季節的に生乳生産が
減少していく時期に当たっていたため、生乳生産の減少に伴いチーズ生産量も減
少したことからチーズ価格は低下を免れていた。99年に入り、春から初夏にかけ
ての生乳生産の増加時期にチーズ生産が増加したことで、需給が一気に緩み価格
急落につながったとみられている。

◇図:EUのチーズ生産量(15カ国)◇


増加を続けてきたチーズ生産も減少に転じる

 EUのチーズ生産は、ニュージーランドや豪州に押され域外輸出は減少傾向にあ
るものの、堅調な域内消費を受けて緩やかに拡大を続けてきた。しかし、ロシア
向け輸出の不振から、99年1〜5月のEU15ヵ国のチーズ生産量は、前年同期比1.0
%減の244万1千トンと前年を下回った。これを国別に見ると、フランスなどが生
産を拡大させている一方で、ドイツ、オランダ、フィンランドなどロシア向け輸
出の多かった国々が大きな影響を受けている。EU最大のチーズ生産国であるドイ
ツは、同4.3%減の65万2千トン、オランダは同6.4%減の26万4千トンに落ち込ん
でいる。

◇図:チーズ生産量の増減率◇

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