◇絵でみる需給動向◇
EU統計局は、EUにおける99年4月現在の豚飼養頭数(8ヵ国のみ:速報値)およ び2000年3月までの豚と畜頭数(速報値および推定値)を公表した。豚飼養頭数 については、従来、4月、8月、12月現在のEU15ヵ国(一部推定値を含む)のデー タが年3回公表されてきたが、99年から一部加盟国について、調査の実施が年3回 から2回に変更されたため、今回は8ヵ国のみ(EU最大の豚飼養国であるドイツは 今回公表されていない)となっている。 これによると、99年4月現在の総飼養頭数(8ヵ国)は、前年同期を1.5%上回る 8,178万頭となった。これを国別に見ると、早期に繁殖雌豚とう汰などの対策を講 じたイギリスで前年を下回ったものの、スペイン、オランダおよびデンマークと いった主要生産国で依然前年を上回っている。 EUの豚飼養頭数(4月現在) 資料:EU統計局 注:99年の数値は速報値、*印の数値は推定値である。
これとは対照的に同時期の繁殖雌豚頭数(8ヵ国)は、前年同期比2.7%減の84 6万頭となった。国別では、スペイン、デンマークを除きいずれも前年を下回り、 今後、豚肉生産が減少に転じる兆しが明らかとなった。中でも、豚コレラの終息 で前年同期に飼養頭数の回復が顕著であったオランダでは、同12.7%とかなり大 幅な減少が見られる。 一方、スペインでは同国への子豚供給元であったオランダでの豚コレラ発生を 機に子豚の自国生産が進展したこと、デンマークでは豚肉輸出が好調であること が繁殖雌豚の頭数増加の背景とみられている。 EUの豚繁殖雌豚飼養頭数(4月現在) 資料:EU統計局 注:99年の数値は速報値である。
次にEU15ヵ国の四半期別豚と畜頭数を見ると、98年に入り前年同期比10%前後 で増加していたが、99年に入り伸びが鈍化し、第4四半期以降は前年を下回ると みられている。国別に見ると、最大生産国のドイツ、フランスでは99年第4四半 期から、繁殖雌豚頭数が依然増加しているスペイン、デンマークでも、2000年第 1四半期から前年を下回るとしている。 ◇図:EUの四半期別の豚と畜頭数◇
豚枝肉卸売価格は、生産増加を背景として97年夏以降急速に下落し、98年後 半から記録的な低水準となっていた(左図参照)。数次にわたる豚肉輸出補助 金の引き上げや民間在庫補助等の対策もあり、98年11月を底に価格は回復基調 に転じている。99年5〜7月には複数の加盟国において豚枝肉卸売価格が上昇し たが、これは季節的な需要増加と6月に発生したベルギーのダイオキシン汚染 問題が主な要因とみられ、価格上昇は一時的なものとの見方が強い。豚肉需給 の好転による本格的な価格の回復は、早くとも99年秋以降になるとみられてい る。
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