◇絵でみる需給動向◇
豚肉生産が依然として高水準で推移している。米農務省(USDA)によると、 99年1月から7月までの豚枝肉生産量は、前年同期比3.3%増の499万トンとなった。 この供給増加は、USDAの飼養動向調査で、180ポンド(約82kg)以上の重量級の 肥育豚頭数が増加を続けていることから、以前より予想されていた(本紙99年8 月号「需給動向:米国の豚肉」を参照)。が、これに加えて、USDAでは、枝肉 重量が例年と異なり今年は春以降も減少していないこと、また、1腹当たり産子 数が一貫して増えていることが生産を押し上げたと分析している。特に、産子数 は、合理性や効率性を追求する大規模経営ほど多い傾向にあることから、くしく も、急速に進む大規模専業化が、業界が待ち望む減産を阻んでいるとも言える。 ◇図:1頭当たり枝肉重量の推移◇ ◇図:1腹当たり産子数の推移◇ ◇図:経営規模別1腹当たり産子数◇
こうしたことから、USDAでは、99年の豚枝肉生産量は、過去最高を記録した 98年をさらに1%程度上回る873万トンとなると見込んでいる。また、2000年につ いては、肥育豚価格の低迷から生産者の種付け意欲が減退するため減産が見込ま れるものの、大規模専業化の一層の進展に伴い産子数が増えるとともに枝肉重量 も依然高水準で推移する見込みであることから、その減少割合は前年比3%程度 にとどまるとみている。
供給増を受けて、肥育豚価格は引き続き低迷するとみられる。USDAによると、 99年の平均肥育豚価格(主産地であるアイオワ州およびミネソタ州の平均価格) は、牛肉などとの競合の激化も相まって、72年以降最低となった98年をさらに下 回る30〜32ドル/100ポンド(79〜85円/kg:1ドル=120円)になると見込まれ る。また、2000年は、減産見込みから30ドル台半ばまで回復するものの、98年並 みの低水準からは脱却できないとみられる。
こうした中、ゴア副大統領は7月、今年2月に続いて、養豚農家に対する直接支 払の交付申請を8月9日から受け付けると発表した。この追加措置により98年下半 期の出荷頭数が2千5百頭未満の小規模経営に対し、1頭当たり最高10ドル(1千2 百円)が8月中旬以降に支払われることとなった。農家1戸当たりの支払限度額は 5千ドル(60万円)で、支払総額は、1億ドル(120億円)になると見込まれる。な お、初回に交付金を受領した農家に対しては、新たな申請がなくても自動的に交 付金が支払われる。
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