ヒルトン枠の新配分方法を決定(アルゼンチン)


EU向け高級牛肉の輸出枠として80年から設定

 アルゼンチン農牧水産食糧庁は、6月28日、EUの高級牛肉枠(ヒルトン枠)の
国内における新たな配分方法(決議198/99。対象期間:99年7月1日から2000年
6月30日および2000年7月1日から2001年6月30日の2年間)を決定した。

 EUが認めている高品質な冷蔵および冷凍牛肉に対する関税割当であるヒルトン
枠は、79年の東京ラウンドで取り決められた関税割当をルーツとし、アルゼンチ
ンに対しては、80年に初めて5千トン(製品重量ベース。以下同じ。)が認めら
れた。


アルゼンチンへの割当数量は2万8千トン

 現在、EUは、97年5月27日付けEU規則936/97に基づき、全体の年間割当数量
である5万8千1百トンのうち、2万8千トンをアルゼンチンに割り当てている。ア
ルゼンチンに割り当てられる牛肉は、月齢が22カ月から24カ月、と畜時の体重が
460kg以下、2本の永久歯を持つ牧草肥育された牛のカット肉であることが要求さ
れる。

 98年度(98年7月1日から99年6月30日)の割当数量2万8千トンに基づく輸出実
績(うち約8割がドイツ向け)は、金額(FOB価格)にして約2億2千万ドル(約26
4億円:1ドル=120円)であった。


新配分方法は地方や中小の食肉加工業者に配慮

 ヒルトン枠の国内食肉加工業者への配分について、農牧水産食糧庁は、2年な
いし3年ごとに、配分方法を決定している。前回の97年に決定された配分方法
(決議443/97)は、過去の牛肉の輸出実績を優先したものであったが、新配分
方法は、大手の食肉加工業者への配分が集中することを避け、地方や中小の食肉
加工業者への配分の拡大を図るものであるとしている。

 各食肉加工業者に対する98年度と99年度の配分量とを比較すると、大手の食肉
加工業者においては、セパ社が16%減、クイックフード社が20%減、フィネクス
コール社が7%減と縮小する一方、地方の食肉加工業者においては、コルドバ州
のエスタンシアスデルスル社が36%増、ラパンパ州のカルネスパンペアーナス社
が2倍強に拡大している。


食肉業界の反応はさまざま

 新配分方法の決定に対する食肉業界の反応について、中小の食肉加工業者を会
員とするアルゼンチン食肉産業組合(UNICA)は、中小の食肉加工業者に対しEU
への牛肉輸出の門戸を広げたものであると評価する一方、大手の食肉加工業者を
会員とするアルゼンチン食肉産業協会(AIAC)は、今回の新配分方法の決定に
際して十分な検討が行われなかったと主張するなど、政府に対し抗議を行った。

元のページに戻る