◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)は、2月24〜25日に開催された「農業観測会議」において、 2009/10年度までの農業全般の需給に関する長期見通しを公表した。飼料穀物の うちトウモロコシに関する概要は、以下の通りである(策定に当たっての前提条 件等については、44ページ参照)。
トウモロコシの作付面積は2002/03年度まで減少傾向で推移するものの、その 後は拡大に向かい、2009/10年度には3,240万ヘクタールになると見込まれてい る。 単収は、99/2000年度の8.4トン/ヘクタールから2009/10年度には9.5トン/ ヘクタールへと12%増加すると予想されている。USDAでは、単収増の要因とし て、遺伝子組み換えトウモロコシなど、バイオテクノロジーの発展・普及と生産 者の作物生産技術の向上を挙げている。 このような作付面積および単収の見通しから、生産量は99/2000年度の2億 4,220万トンから2009/10年度には2億8,120万トンと16%増加すると予測されてい る。
USDAは、トウモロコシの国内消費について、予測期間を通じて年率1〜2%ず つ増加していくものと見込んでおり、2009/10年度には、99/2000年度と比較し て18%増の2億2,190万トンになると予測されている。USDAでは、消費増の要因 として、ブロイラーおよび豚の生産拡大などの畜産部門からの需要増に加え、エ タノールなど工業原料用からの需要増を挙げている。
米国のトウモロコシ輸出量については、アジア諸国の経済危機などの影響で低 迷を続けてきたが、これらの国々の経済回復に伴い増加に転じ、順調に拡大して いくと予想している。2009/10年度の輸出量について、USDAでは99/2000年度 と比較し29%増の6,290万トンに達するとしている。なお、世界のトウモロコシ 貿易量全体が拡大することから、米国産の占める割合は、現状の7割程度で推移 すると予測されている。 一方、USDAが予測した主要国別のトウモロコシ輸入見通しでは、わが国は 1,600万〜1,700万トンで安定的に推移するとされている。また、韓国は99/2000 年度の830万トンから漸増し、2009/10年度には920万トンに、中国は世界貿易機 関(WTO)加盟による市場開放から99/2000年度の30万トンから2009/10年度に は240万トンにまで拡大するとされている。
2009/10年度までの見通しでは、生産および消費ともに拡大基調で推移すると 予想されているが、消費の伸びが生産の伸びを上回ることから需給は徐々に引き 締まる方向に向かうとみられ、在庫は年々取り崩されると予想されている。期末 在庫は99年8月末の4,560万トンから漸減し、2010年には1,480万トンにまで減少す るとされている。このような需給見通しを反映し、トウモロコシ生産者受取価格 は、99/2000年度の1.80ドル/ブッシェルから2009/10年度には3.10ドル/ブッ シェルにまで上昇すると予測されている。 穀物需給は、気象条件等に大きく左右されることから、この見通しのように推 移するかどうか定かではないものの、長期的なトレンドとしては、トウモロコシ 価格は上昇基調を強めるとしている。このようなことからも、世界最大の飼料穀 物輸入国であるわが国にとって、今後の畜産業の安定的な発展を目指す上では、 自給飼料の増産は避けて通れない課題である。 米国トウモロコシ需給予測(98/99〜2009/10年度) 資料:USDA 注1:消費量は、四捨五入の関係で内訳の合計と一致しないところがある 2:99/2000年度は見込み値、2000/01年度以降は予測値 3:穀物年度は9〜8月
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