◇絵でみる需給動向◇
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、99年の豪州産牛肉輸出量(子牛 肉を含む、船積み重量ベース)は、前年を1.9%上回る86万8千トンとなった。こ れは、過去最高の輸出を記録した前年の85万6千トンを上回り、引き続き記録を 更新することとなった。 豪州の牛肉輸出は、80年代後半から上昇基調で推移し、この間、加工原料用を 中心とする米国向けの増加や、牛肉輸入の枠拡大・自由化による日本向けの増加 などを背景に、92年には82万2千トンと輸出のピークを迎えた。その後、他の牛肉 輸出国との競争激化や、需要の減退などから減少傾向にあったものの、主要輸出 国の需要回復、また、韓国などアジア諸国を中心とした市場開拓により、97年を 境に増加に転じている。この間、米ドルや円に対し、豪ドル安で推移している為 替相場の影響も大きい。日本、米国の2国を合わせた牛肉輸出のシェアは、輸出量 全体の7割を占めている。 ◇図:牛肉輸出量および対日、対米輸出割合の推移◇
最大の輸出先である日本向けについては、前年を2.4%下回る31万3千トンとな った。対日輸出の内訳を見ると、ここ数年、増加傾向にあったフローズンは、前 年を12.6%下回る11万8千トンと減少したのに対し、主力品目であるチルドは、前 年を5.1%上回る19万5千トンと、対日輸出に占めるシェアを前年の57.8%から 62.2%へと拡大した。また、グラス、グレイン別では、グラスが前年比8.1%減の 19万7千トンとなったのに対し、グレインは同9.2%増の11万6千トンとなり、フロ ーズンに対するチルドの比率、グラスに対するグレインの比率の伸びが目立って いる。 中でも、チルド・グレインフェッドは、高値で推移した米国産からのシフト傾 向が強まった結果、前年度比10.3%増の9万5千トンとなった。また、日本のマー ケットが、低価格帯の中で肉質やおいしさを求めて、輸入物のチルド・グレイン へと移行していることも大きい。 ◇図:対日牛肉輸出品目割合の推移◇
日本に次ぐ第2の輸出市場である米国向け輸出は、前年を2.1%上回る29万1千 トンになった。92年に記録した37万4千トンには及ばないものの、前年同様、堅 調な輸出実績を得た。好調な米国経済を反映して、輸出の中心である加工向け のみならず、テーブルミート用としてのチルド輸出が、前年の約5倍と大幅に増 加したことが注目される。また、カナダ向け輸出についても、前年を12.3%上 回る4万3千トンと、2年続けて2ケタ増となった。 一方、通貨危機による経済低迷により、前年、大きく減少した韓国向け輸出 は、経済の回復に連動して大幅な伸びを見せ、前年の2.3倍に当たる7万8千トン となった。韓国では、年々、牛肉輸入枠の拡大が行われており、豪州は、日本、 米国に次ぐ第3の輸出先として、また、今年7月に牛肉の輸入自由化に移行する ことから、熱い眼差しを送っている。
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