米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○拡大の遅れが見込まれる牛飼養頭数


 米農務省(USDA)は、2月24〜25日に開催された「農業観測会議」において、
2009年までの農業全般の需給に関する長期見通しを公表した。牛肉需給に関する
概要は、以下の通りである(策定に当たっての前提条件等については、44ページ
参照)。

牛肉需給の長期見通し
be-us05.gif (6667 バイト)
 資料:USDA「Agricultural Baseline Projections to 2009」
 注1:数量は枝肉重量ベース
  2:99年は見込み値、2000年以降は予測値


牛群拡大は2003年から、2005年には再び減少へ

 キャトルサイクル(肉用牛経営の収益性がもたらす循環的な牛群消長)は、繁
殖経営の収益悪化に伴い繁殖雌牛のとう汰が進展したことから、96年をピークに
減少に転じ、現在下降局面にある。繁殖経営の現金収支は97年におおむね黒字に
転じたものの、その後、干ばつにより粗飼料が不足したことに加え、牛肉需要が
極めて旺盛であったことから、更新用未経産牛の多くは肥育に仕向けられた。こ
のため、牛の総飼養頭数は、前回の見通しより2年遅れて2002年まで減少を続け、
2003年から増加に転じると見通される。その後は、2004年に9千6百万頭のピーク
を迎えるものの、長期の拡大を継続するほどの収益が得られないことから、2005
年には再び減少局面に入ると予想される。

◇図:牛の総飼養頭数の見通し◇


生産は2002年以降緩やかに増加

 牛肉生産量は、このようなキャトルサイクルの動きにほぼ連動して推移すると
みられる。ただし、個体の大型化に伴って枝肉重量の増加が見込まれることから、
生産量に及ぼす頭数減の影響は緩和されると予想される。こうしたことから、
USDAでは、牛肉生産量は、2001年までは未経産牛の保留が進むことなどから減
少が続くものの、以後は緩やかな増加傾向となり、2009年には1千1百万トンにま
で回復するとしている。

◇図:牛肉貿易の見通し◇


2007年には純輸出国へ

 輸出量は、ガット・ウルグアイラウンド合意の下で進んだ市場アクセスの改善
などが今後も進展するとして、2001年以降は増加が見込まれ、生産量に占める輸
出量の割合は、9%(98年)から12%(2009年)に高まるとみられる。一方、輸
入量は、2001年まで増加するものの、その後は前年を下回って推移すると予測さ
れる。この結果、前回見通しと同様、2007年には純輸出国に転じるとみられる。

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