豪州の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○生乳生産は引き続き増加基調と予測


2004/05年度まで3.5%の経済成長を維持

 3月初旬に行われた豪州農業資源経済局(ABARE)主催の農業観測会議の中で、
豪州酪農産業の短中期的な需給見通しが公表された。需給見通し策定の基礎とな
る主要経済指標を見ると、米ドルに対する豪ドルの通貨レートについては、98/
99年度の1豪ドル当たり62米セントを底値として上昇し、99/2000年度は1豪ドル
当たり65米セントとしている。ABAREでは、拡大する貿易輸出を背景に2004/05
年度の為替相場を1豪ドル当たり73米セントと仮定しており、昨年に続き、強気
の見通しを立てている。また、経済見通しについては、ここ数年、低迷したアジ
ア経済の影響をものともせず、4%を超える比較的高い成長率を維持したことか
ら、消費税の導入や為替相場の影響によりやや先細りするものの、2004/05年ま
で年率3.5%で推移するとしている。


2004/05年度の生乳生産量は1,158万キロリットルへ

 99/2000年度の生乳生産量は、好調な輸出需要を背景に、経産牛頭数の着実な
増加と、種牛の選抜や飼料の多様化などに伴う経産牛1頭当たり乳量の増加によ
り、前年度を5.9%上回る1,078万キロリットルと見込んでいる。中期的な生乳生
産量の見通しは、1頭当たり乳量の伸びが鈍化するものの、輸出需要が今後とも
拡大基調で推移するとしていることから、生産は順調に増加し、2004/05年度に
は1,158万キロリットルまで達すると予測している。

乳製品生産はチーズを中心に拡大

 乳製品生産の見通しについては、生乳生産の増加とともに全体的に拡大傾向で
推移するとしている。品目別で見ると、チーズ生産は、アジア、中東向け輸出に
支えられ、一貫して増加傾向で推移し、2004/05年度には41万4千トンに達する
と見込んでいる。また、バター、脱脂粉乳、全粉乳など主要製品の生産動向につ
いては、チーズほどの伸びは期待できないものの、着実な需要が増産を促すとし
ている。ABAREでは、チーズ生産増加の要因として、日本の需要拡大に着目して
おり、健康志向を反映した食肉から乳製品へのし好の変化がその背景にあるとし
ている。

◇図:乳製品の生産見通し◇ 


制度撤廃の影響を否定

 豪州では、今年6月末をもって加工原料乳の価格補てん制度と、飲用向け生乳
の価格支持制度を撤廃する準備が進められており、生産者団体など酪農関係者は、
撤廃に伴う生乳生産への影響を危ぐしている。この点についてABAREは、制度撤
廃の時期が生乳生産の減少期に当たること、大規模酪農家を中心とした強い増頭
意欲が、一時的に減少する生乳生産を十分にカバーすることなどにより、年間を
通して見れば、生乳生産への影響はほとんど無いとしており、全般的に明るい見
通しとなっている。

 しかしながら、制度撤廃の動向については、今後想定される豪州の生乳需給に
おいて最大の不安定要素であることから、引き続き注視していく必要がある。

生乳需給見通し
mi-aus06.gif (5963 バイト)
 資料:ABARE「Agriculture And Regional Australia」
 注1:経産牛頭数は、年間5千豪ドル以上の農業収入のある農家を対象とし、
    翌年度3月末現在の頭数
  2:99/2000年度以降は、ABAREによる予測値
  3:1豪ドルは約70円


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