◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)は、2月24〜25日に開催された「農業観測会議」において、 2009年までの農業全般の需給に関する長期見通しを公表した。生乳需給などに関 する概要は、以下の通りである(策定に当たっての前提条件等については、44ペ ージ参照)。 生乳需給などに関する長期見通し 資料:USDA「Agricultural Baseline Projections to 2009」 注1:年度は各年10月から翌年9月 2:99/2000年度は見込み値、2000/01年度以降は予測値 3:牛乳乳製品の消費量は、乳脂肪ベースの生乳換算値であり、 政府による国内向け無償供与分を除く
生乳生産量は、比較的高水準で推移した生乳価格が酪農家に収益をもたらした ことから、97年以降増加しており、今後も引き続き前年を上回って推移するとみ られる。経産牛頭数が伝統的な小規模経営の廃業などに伴って一貫して減少する ものの、こうした増産は、経産牛1頭当たり乳量が引き続き増加することによる ものである。乳量増加の要因としては、飼養管理技術の向上、配合飼料価格の低 下による生乳/飼料価格比(生乳1ポンドの価格に対する配合飼料価格の比率) の上昇などが挙げられる。ただし、これまでのような飼料穀物の多給はコスト面 から制限される上、経営規模による乳量格差が縮小していることから、小規模経 営が廃業しても平均乳量は従前ほど増加しないとみられる。このため、その伸び 率は、やや鈍化すると見込まれる。 また、乳製品の需要は、経済成長と人口増加に支えられ、全般的に緩やかに増 加するものとみられる。特に、チーズや加工食品分野における乳製品の需要は今 後とも増加するものの、飲用乳の需要は停滞すると見込まれる。 ◇図:生乳生産量、経産牛頭数および1頭当たり乳量◇
一方、生乳価格は、生乳生産の記録的な増加により現在低迷している。前回見 通しでは、2000/01年度には需給が均衡し、生乳価格は上昇に転じるとみられて いた。しかし、乳製品の需要は堅調であるものの、生乳価格の低下に対応した生 産の収縮が遅れていることから、今回は、上昇の時期は2001/02年度になり、そ の後は緩やかな上昇傾向が継続すると見通されている。また、近年見られる大幅 な価格変動については、売買のあらゆる段階における少数の者による取引の集中 がその原因であることから、今後も起こり得るとされている。 ◇図:生乳生産者販売価格の見通し◇
輸出については、ホエイ製品やごく一部の種類のチーズの輸出は増加が見込ま れ、乳製品輸出促進計画(DEIP)の下での補助金付き輸出が継続したとしても、 現行の世界貿易機関(WTO)の枠組みの中では、今後とも国内の需給にほとんど 影響を与えないとみられる。
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