99年の牛肉輸出は減少も日本向けは増大(ウルグアイ)


と畜頭数は前年比4.4%減の175万頭

 ウルグアイは、ブラジル、アルゼンチンに次ぐ南米第3位の牛肉輸出国で、牛
飼養頭数はわが国の2.2倍に相当する1千万頭強の規模を有する。

 99年の同国の牛と畜頭数は175万頭で、98年の183万頭に比べ約4.4%減少した。
減少の内訳は、雌牛が4万6千頭、去勢牛が3万頭などである。雌牛のと畜頭数の
減少は、家畜保留の傾向を裏付けるもので、実際ここ数年飼養頭数に占める繁殖
雌牛の割合は97年の33%から99年の34%に増加し、将来の飼養頭数拡大の兆しを
見せた。

 しかし、99年の9〜12月に限って見ると、雌牛のと畜頭数が28万7千頭、去勢牛
が36万5千頭と、前年同期比で22%、15%それぞれ増加した。これは、99年9月
以降の干ばつで牧草が不足し、放牧できない牛をと畜に回したことに起因する。


牛肉輸出は前年比11%減の15万7千トン

 99年の牛肉輸出量(製品重量ベース)は、前年比11%減の15万7千トンとなっ
た。これは、最大の輸出相手国であるブラジルの通貨切り下げの影響を強く受け
たことによる。また、輸出金額(FOBベース)は、前年比17%減の3億4千万ドル
(374億円:1ドル=110円)と、輸出量を上回る減少比の幅となった。

輸出先はメルコスルからNAFTAへシフト

 輸出先、輸出量については、98年に比べ顕著な違いが見られる。これは、冷蔵
肉市場のメルコスル(南米南部共同市場)から冷凍肉市場の北米自由貿易協定
(NAFTA)地域へのシフトである。その理由としては、

@ 米国の牛肉価格が持ち直し、利益の見込める市場になったこと

A ブラジルをはじめメルコスル内の牛肉価格が下落し、メルコスル内でウルグ
 アイの価格競争力が相対的に弱まったこと(メルコスルでは品質より価格が重
 視される傾向にある)

B 韓国、日本と並び輸出国の衛生条件が厳しいメキシコでは、口蹄疫清浄国で
 あるウルグアイ産牛肉が好まれることなどが挙げられる。

 なお、ウルグアイは、現在、メキシコと牛肉関税率の削減(27%から13%へ)
に関して交渉中である。


対日輸出は前年の約10倍の3千トン

 ウルグアイは、既に口蹄疫の清浄化を果たしており、98年からわが国にも牛肉
輸出を開始した。99年の対日輸出は、冷凍牛肉を主に2,915トンと、前年の約10
倍に増大した。

 対日輸出が急増した理由は、2万トンの米国枠を消化したウルグアイが、価格
面で日本の業者に歩み寄ったとも言われている。ウルグアイ産冷凍牛肉は、日本
のファミリーレストランや牛肉弁当などでの引き合いがあるようだ。

ウルグアイ産牛肉の輸出先と輸出量の推移
sakibetu.gif (45222 バイト)
 資料:ウルグアイ国立食肉院(INAC)
  注:輸出量は製品重量ベース、輸出金額はFOBベース

元のページに戻る