99年のアルゼンチン農産物輸出額は減少


1次産品の輸出は全体の6割

 アルゼンチンでは、農林水産品(1次産品)およびその加工品の輸出額は、全
体の約6割を占め、外貨獲得上、極めて重要な位置付けにある。そのほかの輸出
産品を見ると、鉱工業製品が約3割、燃料エネルギーが約1割となっている。

農産物の国際市況低迷などで前年比12.5%減

 INDEC(国家統計局)によれば、アルゼンチンの99年1〜12月における農林水
産品およびその加工品の輸出額(速報値、FOBベース)は、前年を12.5%下回る
約134億5千万ドル(約1兆4千8百億円:1ドル=110円)となった。

 米州農業協力機関(IICA)では、99年のこれらの輸出額が減少した理由として、
@農産物の国際市況の低迷、Aブラジルの通貨レアルの切り下げ、B気象状況の
影響や作付面積の減少による穀物生産量の低下、C為替要因などを挙げている。
加えて、ブラジルやEU向け輸出価格の競争力が低下したことを強調している。し
かし、酪農品・鳥卵は、前年比で19%増となった。これは、アルゼンチンの酪農
業界が補助金に依存せず、投資の増加で設備の近代化を図ったことによるものと
評価している。


EUが最大の輸出市場

 99年の主要地域別輸出額のシェアを見ると、農林水産品では、EUが31%、メル
コスル(南米南部共同市場)が27%、農林水産加工品では、EUが29%、メルコス
ルが14%、北米自由貿易協定(NAFTA)地域が11%を占めた。特に、ブラジルの
通貨切り下げによる影響を強く受けたメルコスル向け輸出は、前年比で農林水産
品が24%、農林水産加工品が19%の減少となった。

1次産品の高付加価値化が大きな課題

 全輸出額の約2割(99年)を占める農林水産品の輸出額が、前年比で21%の下
落を見せる中、ベロンガライ農牧水産食糧庁長官は、1次産品の加工度を高め、
より付加価値の高い製品づくりを政策の柱の1つにすると表明している。また、
これに関するアルゼンチン国立農牧技術院(INTA)での研究結果を、生産者段
階まで反映させることで、アルゼンチン産農産物の特徴をより強調し、市場拡
大に努めたいとしている。

 同国の99年1〜12月における品目別輸出額(速報値)の内訳は、以下の通りで
ある。

アルゼンチンの品目別輸出額(FOBベース)
hinmoku.gif (38946 バイト)
 資料:INDEC(国家統計局)
  注:四捨五入等の関係で必ずしも計は一致しない。

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