輸出拡大に意欲をみせる豪州豚肉業界


2002年までに7万トンを超える輸出を計画

 オーストラリア豚肉輸出連合会(CAPE)は、今年1月28日に主催したセミナー
の席で、豚肉の輸出拡大を柱とする一連の事業計画を発表した。計画では、2002
年までに、現在の水準の2倍以上、国内豚肉生産量の約2割に当たる7万2千トンの
輸出を目指している。

 豪州の豚肉業界は、輸入豚肉の増加により国内価格の低迷を余儀なくされてお
り、98年には、連邦政府に対し輸入制限を求めるなど大きく揺れていた。このよ
うな中でCAPEは、豚肉の輸出振興を目的に、連邦政府の豚肉業界支援策の一環
として支出された財政援助と、生産者課徴金を主な財源として運営される豪州豚
肉公社(APC)および特定豚肉パッカーからの資金供出により、99年4月にAPCの
機関として設置された。


シンガポール市場では「新鮮」、日本市場では「安全と衛生」がキーワード

 豪州産豚肉の輸出促進に向けてCAPEは、シンガポール市場では「新鮮」、日本
市場では「安全と衛生」をキーワードとした輸出戦略を立てている。

 現在、豪州からシンガポールに向けに輸出される豚肉の98%はチルドによる空
輸であり、CAPEでは、その新鮮さが豪州産豚肉のメリットであるとしている。ま
た、現在、シンガポールが輸入する豚肉の3分の1は豪州産が占めており、今後の
拡大を図る上で、同市場向けに、豪州産の「新鮮さ」を消費者に強調するための
ロゴとスローガンを準備している。

 日本市場については、豚肉について食品としての安全性や衛生面が重要である
とし、抗生物質の使用制限や、ホルモン剤などの不使用を訴えていく。

 このほか、輸出振興の一環として、商品ラベルとして豪州産豚肉を象徴する統
一マークの検討を始めている。


輸出拡大には、克服すべき課題も

 豪州の豚肉輸出は過去3年間で急激に増加している。99年の輸出量は国内生産
量の9.2%に当たる3万2千トンに達し、96年の4倍、98年の2倍となった。しかし
ながら、これは主に、97年に台湾で発生した口蹄疫発生による日本向け輸出の増
加、また、昨年マレーシアで発生したニパ・ウイルスによるシンガポール向け輸
出の増加といった、偶然のアクシデントに支えられている側面が強い。

 豪州の豚肉産業は、生産量を見ると日本の3分の1にも満たず、本来的には需給
均衡型であるだけに、輸出の拡大には新たな生産基盤の拡充が求められている。
また、肥育方法の見直しや、非効率なと畜加工の改善など、輸出拡大に向けて克
服すべき課題は多い。

◇図:豚肉輸出量の推移◇

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