◇絵でみる需給動向◇
豪州農業資源経済局(ABARE)が発表した農業経営動向調査報告書によると、 99/2000年度(99年7月〜2000年6月)の肉牛専業経営の経営収支は、88/89年度 以来11年ぶりに黒字となる見通しである。その内訳については、現金収入が前年 比10.3%増の18万8千豪ドル(約1千224万円:1豪ドル=65円)、同様に現金支出 は9.3%増の13万7千豪ドル(約893万円)、これを差し引いた現金収支は前年を 13%上回る5万1千豪ドル(約330万円)と見込まれている。現金収支から家族労 働費や減価償却費などを引いた経営収支は、4千200豪ドル(約27万円)と前年の マイナス8千豪ドル(約52万円)から転じて黒字になった。 ◇図:肉牛専業経営農家における経営収支の推移◇
肉牛専業経営農家の経営収支が11年ぶりに黒字となったのは、肉牛価格の上昇 によるところが大きい。ABAREでは、肉牛価格上昇の要因として、米国の好調な 景気動向により、加工向けを中心に輸出されている豪州産牛肉への需要が強かっ たことを挙げている。また、豪ドル安で推移する為替相場や中東、東南アジア向 け生体牛輸出の増加、さらに、牛群の再構築などの影響もあるとしている。一方、 素牛不足によると畜頭数の減少が見られ、99年7月から2000年3月までの間では、 前年同期比6%減、特に雌牛は16%も減少している。このため、生産者販売価格 は96/97年度からの上昇が継続し、99/2000年度の若齢牛の平均価格(ニューサ ウスウェールズ州)について見ると240豪セント(約156円)/kgと過去最高値を 記録した93/94年度に次ぐ高い水準になっている。 ◇図:生体牛取引価格の推移◇
2000年6月に発表されたABAREの第1次産品に関する需給予測によると、肉牛 については牛群の再構築により素牛の供給量が減少することから、2000/01年 度の豪州産肉牛価格は上向きとしている。生体牛取引の指標となるセールヤー ド価格(市場取引価格)も、ここ数年ほどの高い上昇にはならないものの、224 豪セント(約146円)/kgと前年を上回る水準を予測している。
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