◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が四半期ごとに発表する飼養動向調査によると、2000年第 2四半期(6月1日現在)の豚の総飼養頭数は5,940万頭となった。総飼養頭数は、 98年秋の肥育豚価格の大暴落を受けて、99年第2四半期に減少に転じて以来低下 傾向にあり、今回も前年を2.5%下回った。しかし、前回調査(3月1日現在)と の比較では、2.2%増と4期ぶりに増加に転じている。州別では、主要5州でい ずれも前回より増加し、このうちアイオワなどの上位3州は、前年と比べても増 加する結果となった。
種類別の飼養動向を見ると、繁殖豚(雄を含む)頭数が623万頭と、前年比で は4.3%の減少ながら前回比では0.5%増と、大暴落以前の98年第2四半期以降初 めて増加に転じた。このように、前回調査時から頭数が増加したのは、と畜頭数 の減少に伴う供給減とベーコンに代表される豚肉需要の回復から、肥育豚価格が 大幅に上昇した結果、養豚経営体の採算がとれるようになったことに加え、今年 に入って経営の黒字幅が拡大傾向にあることから、好転した経営環境の下で、繁 殖豚を増頭する生産者が多かったためとされる。こうした状況について、専門家 の間では、大暴落に端を発した繁殖豚のとう汰に歯止めがかかり、生産基盤の再 構築が始まったとする見方が大勢を占めている。 ◇図:肥育豚価格と養豚経営体のマージン◇ 豚の飼養動向(2000年6月1日現在) 資料:NASS/USDA「Hogs and Pigs」 注1:肥育用、繁殖用ともに雌雄の計 2:前年比は、2000年6月1日現在/99年6月1日現在の比、 前回比は、2000年6月1日現在/2000年3月1日現在の比
養豚経営体の収益性は、穀物価格の低迷で生産コストの上昇が見込まれない こともあり、当面は良好に推移するとされる。このため、業界全体に楽観ムー ドが広がっており、繁殖豚頭数は、早ければ年内にも前年水準を上回るとみら れている。また、今回のUSDA調査では、今年の分娩予定頭数が、6〜8月は前 年より減少するものの9〜11月では前年より増加することや、繁殖豚1頭当たり の平均子豚生産頭数が着実に増加していることが明らかになったことなどから、 豚肉生産は、前回調査時には来年半ば以降に増加に転じるとされていたが、来 春に早まる可能性が高まってきた。
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