◇絵でみる需給動向◇
10月末に発表された豪州フィードロット協会(ALFA)と豪州食肉家畜生産者 事業団(MLA)との共同調査による、四半期ごとのフィードロット飼養動向調査 によると、2000年度第3四半期(9月末)の飼養頭数は64万4千頭と前回調査(6月 末)を2.9%下回る結果となったが、前年比では20.8%の増となっており、この時 期としては高水準を維持している。減少の要因としては、冬場をピークとした季 節的な変動と日本をはじめとする海外市場からの需要が落ち着きを見せたことが 挙げられている。 ◇図:フィードロット飼養動向の推移◇
ALFAによると、豪州産グレインフェッド牛肉の輸出は、豪ドル安による強い 価格競争力により、2000年1月〜8月までの輸出量が前年比11%増、牛肉総輸出量 のうち37%を占めている。また、日本向け牛肉輸出価格は、グラスフェッド、グ レインフェッド牛肉ともに豪ドルベースでは若干の上昇を見せているが、円ベー スでは豪ドル安を反映し下落しており、これもグレインフェッド牛肉の輸出量増 加の要因と考えられる。 現在、グレインフェッド牛肉の中でも輸出の中心となっている短期肥育は、素 牛価格の上昇によりフィードロットの利幅が薄いため、回転率を高めている。そ の一方で長期肥育は、短期肥育と比べて取引価格が高値であり、豪ドル安の中で 安定した利益の確保が可能なことから、飼養頭数が維持されている。ALFAでは、 今後、利益の大きい長期肥育の輸出拡大を期待している。 ◇図:牛肉対日輸出量の推移◇
豪州農業資源経済局(ABARE)では、アジア市場でのグレインフェッド牛肉の 需要は、豪ドル安による価格低下で、今後も強まるものと見込んでいる。一方、 米国産牛肉の輸出も2000年末まで高い水準を維持されるとして、アジア市場での 競争は厳しいものと懸念しているが、豪ドル安はそれを上回る需要を作り出すと 見ている。また、豪州国内市場でも好調な経済と販売促進活動によりグレインフ ェッド牛肉への需要は高まっており、飼料穀物の安値も手伝ってフィードロット 産業の好調な状態は続くものとみている。 また、MLAは、2001年1月からの韓国市場が自由化されるのに伴い、グレイン フェッド牛肉を中心とした韓国向け冷蔵牛肉の新規格を発表した。この動きが豪 州産グレインフェッド牛肉についてのアピールとなり、フィードロット産業に新 たな市場拡大の機会を与えることが期待されている。
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