◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、99年における4大パッカーの牛と畜シェアは、前 年より0.9ポイント高い70.4%と史上最高を記録した。4大パッカーのシェアは、 90年代に入りほぼ一貫して増加傾向で推移し、今回初めて7割を突破した。この うち、と畜の8割以上を占める去勢牛および未経産牛を見ると、4大パッカーのシ ェアは、93年以降80%前後と安定的に推移し、99年は81.4%と、94年のピーク時 に次ぐ高いものとなった。これに対し、経産牛および雄牛では、4大パッカーの 99年におけるシェアは、最大手のIBP社が経産牛部門から撤退したことなどから、 前年より1ポイント低い31.8%にとどまった。 ◇図:4大パッカーとのと畜シェア◇
牛の調達ベースに基づく4大パッカーのシェアを見ると、99年は前年より2.1ポ イント高い69.2%と、と畜シェア同様、過去最高を記録した。大手パッカーは近 年、家畜市場などを通じたスポット買い付けから生産者との生産・販売契約に基 づく取引きへと調達ルートを移行させており、98年度(98年中に終了した各パッ カーの会計年度を含む)において、4大パッカーの生産・販売契約による調達率 は22.4%まで高まっている。また、4大パッカーの施設数は、97年以降規模の拡 大が図られる中で減少傾向で推移し、99年は前年より2ヵ所少ない28ヵ所となっ た。さらに、98〜99年におけるパッカーの合併・吸収としてUSDAに報告された 19件のうち、12件が4大パッカーによるものであった。このように、4大パッカ ーは、生産者との販売契約などによる牛の安定的な確保、施設の拡大や中小パッ カーの買収による処理能力の増強や新市場の獲得などを通じて、市場シェアを拡 大したとみられる。
一方、98年度における4大パッカーのマージン率(売り上げに占める収入の割 合)は1.43%と、前年より0.33ポイント上昇したものの、上位8社、上位20社の いずれと比べても低いものとなった。これは、売り上げに占める牛の調達コス トの割合が中小パッカーより高いことによるもので、その差は、過去6年間の平 均で上位8社と比べて0.39ポイント、上位20社と比べて0.71ポイントとなった。 これにより、4大パッカーが、低利益販売を追求した価格競争の下で経営を維持 している姿がうかがえる。 ◇図:パッカーのマージン率◇
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