タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○ブロイラー生産費は引き続き低下


ひな費の下落が主要因

 タイ農業協同組合省の公表した2000年上半期(1〜6月)のブロイラーの生産費
は、前年同期比4.0%安の1羽当たり45.56バーツ(約117円:1バーツ=2.56円)と
なった。これは、生産過剰のため下落が続いているひな費が、さらに大幅な下落
傾向で推移したことによるものである。

 99年上半期におけるひな価格は、好調な輸出を受けて上昇傾向で推移していた
こともあり、前年同期比18.3%高の1羽当たり10.05バーツ(約26円)となってい
た。しかし、今年に入り、国際価格の低下による輸出の停滞などから、生産過剰
ぎみとなってひな価格は急落し、今年6月には4.77バーツ(約12円)と、99年11月
の3.24バーツ(約8円)以来の安値となっている。このため、2000年上半期では、
前年同期比24.1%安の7.63バーツ(約20円)と大幅な下落となっている。なお、
農業協同組合省が公表した7月のひな価格は、前年同月比31.1%安ながら8.09バー
ツ(約21円)と、やや回復の傾向を示しており、今後のさらなる回復が期待され
ている。


えさ費はほぼ前年並みに

 一方、これまで生産費を引き下げる要因の1つとなっていたえさ費は、前年同
期比1.4%高の32.96バーツ(約84円)とほぼ前年並みで推移している。これは、
99年に軟調に推移していた飼料価格が今年に入り、ほぼ前年並みで推移している
ためとみられている。

 農業協同組合省が公表したブロイラー用配合飼料価格を見ると、同国に通貨危
機の発生した97年下半期以降、輸入飼料の価格上昇に伴い、配合飼料の価格は上
昇傾向で推移していた。しかし、99年は、為替相場の安定と世界的な飼料作物の
豊作などを受けて安値で推移し、上半期には前年同期比20.7%安の1kg当たり7.9
7バーツ(約20円)、下半期も12.7%安の7.98バーツ(約20円)と、ほぼ同水準と
なっている。今年上半期は、前年同期比3.9%高の8.28バーツ(約21円)とやや上
昇しているものの、ほぼ前年並みで推移している。

 なお、タイ政府は、価格の低迷しているトウモロコシについて、調整保管を実
施している。これは、昨年の豊作により、在庫が高水準にあるためとみられてお
り、9月末時点における水分含量14.5%未満のトウモロコシの農家販売価格は、
1kg当たり3.48バーツ(約9円)と、7月時点における3.89バーツ(約10円)に
比べ10%以上も下落している。調整保管の実施に当たっては、買い入れ予定数量
を50万トン、目標農家販売価格を3.90バーツ(約10円)とし、介入期間は2000年
8月から2001年6月までとされている。

ブロイラー用配合飼料価格
br-ta06.gif (3585 バイト)
 資料:タイ農業協同組合省

ブロイラーの生産費
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 資料:タイ農業協同組合省

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