米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○ブロイラー価格、回復の兆しも年平均では前年割れか


卸売価格は1年半ぶりの前年超

 ブロイラーの卸売価格が秋以降強含みで推移している。米農務省(USDA)に
よると、全国12都市の丸どり平均卸売価格は、ロシア向け輸出が激減したことか
ら98年8月をピークに下降し始め、その後も概して前年を下回って推移した。し
かし、今年9月に1年半ぶりに前年水準を上回り、翌10月も57.3セント/ポンド
(139円/kg:1ドル=110円)と前年同月を4.3%上回った。部位別では、もも肉
の卸売価格が堅調に推移しており、今年10月には前年同月比30.8%高の39.3セン
ト/ポンド(95円/kg)と、年初と比べ30%近く上昇した。

◇図:ブロイラー卸売価格◇


輸出増と供給の伸び率鈍化が要因

 このように価格が回復しつつある要因としては、輸出需要が極めて好調である
ことが挙げられる。ブロイラー輸出は、最大の仕向け先である香港をはじめ、い
ずれの市場でも需要が堅調で、2000年1〜8月では169万7千トンと、前年同期比23
.7%の増加となった。中でも、99年に経済の混乱から輸出が激減したロシア向け
は、同国の生産が低迷する一方、原油価格の高騰などに伴う好景気から需要が旺
盛となり、バルト海諸国(ラトビアおよびエストニア)向けを含めると前年同期
の4倍近い58万4千トンが今年1〜8月に輸出された。また、供給側の要因としては、
ブロイラー生産の伸びが鈍化したことが挙げられる。2000年1〜10月のブロイラ
ー生産量は1,156万トンと、処理加工業者が価格の低迷により生産調整を実施し
たことから、前年同期比2.6%増にとどまっている。こうした需給状況を反映し
て、冷凍鶏肉在庫は今年6月以降前年同月を下回って推移しており、9月末現在で
は前年同月比8.5%減の37万1千トンとなった。

◇図:冷凍鶏肉在庫の推移◇


2000年平均では前年割れの見込み

 今後の価格動向は、増産のペースがどこまで抑えられ、輸出がどこまで増加す
るかによるとみられる。USDAでは、2000年の生産および輸出がそれぞれ2.7%お
よび6.8%増加したとしても、2000年平均のブロイラー(丸どり)卸売価格は、
前年比4.5%安の55.5セント/ポンド(135円/kg)にとどまると見込んでいる。
こうしたことから、ブロイラーの卸売価格は、短期的には回復しながらも、年平
均では前年からの低下傾向が継続するとみられる。

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