スペインの生ハム生産(ハモン・イベリコ)
ブラッセル駐在員事務所 島森 宏夫、山田 理
ひとくちメモ
スペインの生ハムは、原料となる豚の種類から、おおまかにハモン・イベリコ、
ハモン・セラーノの2種類に区分される。ハモン・セラーノが白豚を原料にスペ
イン全土で生産される大衆製品であるのに対し、ハモン・イベリコは、イベリア
半島原産であるイベリコ種という黒い豚を原料に、サラマンカ市など海抜500m
以上のスペイン南西部で生産されている。
原料のイベリコ豚は放牧により飼育され、飼育後期にはコルク樫などオークの
実であるドングリをえさとして仕上げられるため、生産量はスペインの生ハム全
体の5%程度にしかすぎない。長期の乾燥・熟成を経て完成された製品は、水分
が少なく濃厚かつ芳醇な風味が特徴である。なお、ハモン(JAMON)とは、スペ
イン語で豚モモ肉のハムを意味し、前肢を使った製品はパレッタ(PALETA)
と呼ばれている。
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積み重ねられ、海塩で塩漬けされる豚モモ肉。
塩漬け期間は10日前後(原料となる豚肉1kg当
たり1日が目安)。塩漬け後、洗浄されてから
乾燥・熟成が行われる。
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天井からつるされて熟成中の製品。ハ
モン・イベリコと呼ばれる完成までの乾
燥・熟成期間は、2年以上を要するという。
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熟成に従い、全体が青(白)カビで覆
われ、独特の風味が生み出される。
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熟成がさらに進み、出荷間近の製品
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出来上がったハモン・イベリコ。食べ
る直前に、ごく薄くスライスするのが風
味を逃がさないおいしい食べ方。一般的
にハモンの製品重量は5.5〜9kg、パレッ
タは3.5〜6kgである。
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