世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○米国産トウモロコシの収穫量予測を下方修正


生産予測は2ヵ月連続の下方修正

 米農務省(USDA)が10月に公表した穀物の生産予測によると、2000/01(20
00年9月〜2001年8月)年度の米国のトウモロコシ生産量は、2ヵ月続けて下方修
正され、2億5,900万トンと予測されている。今年度の米国のトウモロコシ生産は、
育成期に気象条件に恵まれたことなどから記録的な豊作が見込まれているが、下
方修正後も依然としてこれまでの最高であった94/95年度の生産量(2億5,500万
トン)を上回っている。 

 11月5日現在のトウモロコシの収穫率(主要18州)は92%で、収穫は最終段階
を迎えている。州別に見ると、カンザス州、テネシー州、テキサス州の3州で全
量収穫が終了している。今年度の収穫の進捗状況は、前年同期の収穫率(94%)
には及ばないものの、最近5年間(95−99年)の平均収穫率(83%)を上回って
いる。


中国のトウモロコシの減産大きく同国の貿易量は限定的の見込み

 また、USDAは、中国の今年度の穀物生産は干ばつの影響で減少し、穀物の期
末在庫量が大幅に減少するとみている。このため、トウモロコシの輸出価格は半
年間で15%上昇している。中国の穀物輸出余力は、政府の政策方針(今年度はま
だ公表されていない)に大きく左右されるが、過去の例を見ると国内の穀物価格
が高く、需給がひっ迫状況にある場合、政府は穀物輸出を抑制し国内消費に仕向
ける政策を講じている。現在中国では、米国産トウモロコシ価格の上昇につれて、
輸入に代えてコスト面で有利な、国内調達(主生産地域である北部から消費地で
ある南部地域へトウモロコシの移動)に切り替えを進めている。

◇図:中国のウモロコシ生産量、消費量、期末在庫◇

◇図:中国のトウモロコシ輸入量、輸出量◇


遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの問題が表面化

 2000/01年度のトウモロコシ貿易は、米国で増産する一方、中国、東欧など他
の輸出国で減産が見込まれることから、輸出競争力の強まった米国産トウモロコ
シの輸出が増加するとみられている。

 このような中、9月、米国でGMトウモロコシをめぐる問題が発生した。米国で
飼料用としてのみ利用が承認されているGMトウモロコシのスターリンクが、メ
キシコ料理であるタコスの材料などに混入していることが明らかとなった。米国
政府は、製品の回収を指示するとともに、今年度生産されたスターリンク(約20
0万トン)を全量回収することとした。また、この問題は、その後米国産トウモ
ロコシの最大輸出国である日本(スターリンクは食用、飼料用とも未承認)にも
波及し、両国間でトウモロコシ輸出時の検査体制の強化などが協議されている。
GM作物の安全性については、次期国際貿易機関(WTO)交渉の場で議論の対象と
なることが予想されており、当面は、GM作物と非GM作物の的確な分別が一層重
要性を増すものとみられる。

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