◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC)によると、99/2000年度(99年7月〜2000年6月)の乳製品 生産は、脱脂粉乳が前年度比4%減の24万6千トンとなったものの、それ以外の乳 製品は前年度を上回ることとなった。バターの生産量は、前年度比2%増の17万 9千トンとわずかな伸びに留まったが、全粉乳は前年度比31%増の19万トンと大 幅な増産となった。チーズ生産は、10年間一貫して増加しており、99/2000年度 も前年度比11%増の35万4千トンとなった。 ◇図:乳製品生産の前年度比の推移◇
豪州農業資源経済局(ABARE)が9月末に発表した四半期ごとの第1次産品の需 給予測では、チーズ生産の大幅な増加の要因として、アジアを中心とした海外市 場からの強い需要を挙げている。2000/01年度も、これらの国民所得の増加率が 高い地域では、潜在的な需要の拡大余地も大きく、このためチーズの国際価格は 今後も上昇が見込まれるとしている。 また、脱脂粉乳生産については、アジア市場からの強い粉乳需要が続く中で、 前年度を下回って推移している。その要因としては、5月以降回復を見せながら も低迷しているバターの国際価格の影響により、バター・脱脂粉乳工程の収益性 が低いことが挙げられる。一方、全粉乳は海外市場の需要が強く、国際価格も上 昇していることから大幅な増産となった。 バター生産については、アジアと中東の原油産出国からの需要に支えられ、対 前年度比微増となっているが、最大のバター輸入国であるロシアの経済動向によ っては需要が強まることが予測されることから、生産に好影響が期待できる。こ のように需要に対する期待はあるものの、バターの国際需給は依然として緩和し ており、2000/01年度も価格の上昇は期待できないとしている。 ◇図:乳製品国際価格と為替の推移◇
このような乳製品生産に対する海外からの強い需要があることにより国際市場 は上昇傾向にあるが、為替相場は豪ドル安で推移しており、国際市場における豪 州産乳製品の価格競争力を高める結果となっている。ABAREでは、今後の乳製品 生産動向は、為替相場の動向が大きな影響を与えるとみている。
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