EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○減少に転じる2000年上半期の生乳生産


上半期の生産量は前年同期を下回る5,917万3千トン

 EU統計局の発表によると、2000年上半期(1〜6月)のEU15ヵ国における生乳生
産量は、前年同期比0.5%減の5,917万3千トンとわずかながらも前年実績を下回る
結果になった。EUの生乳生産は、生乳クオータの拡大や世界的な乳製品需要の高
まりを背景に安定的な推移を見せているが、今年は、春先の不安定な天候で北部
地域を中心に通常よりも放牧開始が遅れたことなどが影響し、需要に反して生産
は伸び悩んでいる。

2000年上半期のEU主要国における生乳生産量
mi-eu05.gif (4420 バイト)
 資料:EU統計局、ZMP


ゼロが見込まれる脱脂粉乳の介入在庫量

 上半期の生乳生産が減少に転じる中、EUの脱脂粉乳、バターの介入在庫量に大
きな変化が表れている。EUの脱脂粉乳介入在庫は、国際価格が低迷していた98年
中旬頃から急激に増加し、99年7月末には27万トンを超える数量が記録されたが、
その後の国際価格の上昇や、飼料用を中心とする域内需要の高まりを受け、大き
く減少している。2000年10月末の介入在庫量は、前年同期を99.6%下回る9百ト
ンとわずかな数量を残すだけとなり、すでに、飼料用向けの介入在庫量はゼロと
の報告もある。域内の乳製品生産は、チーズや全粉乳へとシフトしつつあり、生
乳生産の減少は、脱脂粉乳の生産減少をさらに加速させることになる。

◇図:脱脂粉乳の介入在庫量と国際価格の推移◇


価格上昇で減少に転じるバターの介入在庫

 大幅な介入在庫を抱えるバターも、原油産出国などを中心とする需要回復に伴
う国際価格上昇や、域内での販売促進策の実施を受けて、脱脂粉乳同様、減少に
転じている。バターの介入在庫は、需要の低迷に伴う販売不振により99年中旬頃
から急激に増加し、2000年6月末には8万トンを超えていた。10月末の介入在庫量
は7万トンと、着実な減少をみせている。EU域内での需要は、安定した経済成長
の中で、マーガリンなど代替品からの転換や業務用の消費を中心に伸びている。
生産は減少傾向で推移していることから、今後の需要回復の動向が注目される。

◇図:バターの介入在庫量と国際価格の推移◇

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