◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド(NZ)政府統計局の発表した貿易統計によると、99/2000年 度(99年7月〜2000年6月)のチーズ輸出量は、前年度比2.7%減の23万3,200トン となった。チーズ輸出は、97/98年度以降安定して推移しており、生乳生産の減 少に伴う98/99年度の大幅な減産時にも輸出量の維持が図られ、安定的な供給力 が示された。このように、需要に安定的に応えることがNZにとって輸出市場で競 争力を確保する上での大きな武器となるだけに、今後も同様の対応が図られるも のと考えられる。 ◇図:チーズの輸出量と生乳生産量の推移◇
99/2000年度のチーズ輸出先を国別に見ると、最大の輸出先となっているのが 輸出量全体の21%を占める日本である。前年度と比べ輸出量は9.3%減少している ものの、依然としてNZにとっての最大の市場であり、日本へは、プロセスチーズ を除くほとんどの種類のチーズを輸出している。中でもチェダーチーズとエグモ ンドチーズの割合が高くなっている。また、フレッシュチーズが17%を占めてお り、その人気の高さがうかがえる。 日本に次ぐ輸出先は、全体の13%を占める米国である。米国向けは、チェダー チーズを中心とした加工向けの輸出となっており、NZにとっての安定した輸出先 となっている。 その他にも、台湾、韓国、フィリピンなどのアジア市場へも着実に輸出を行い ながらも、メキシコが全体の4.8%に上り、チリなどへの輸出量も伸びているこ とから、中南米への市場開拓が順調に進んでいることが分かる。 ◇図:チーズ輸出の国別割合◇ ◇図:チーズ輸出の種類別割合◇
ニュージーランド・デイリーボード(NZDB)は、難航しているとの報道もある ものの、豪州の大手乳業メーカーのボンラック社と、同社所有の有名チーズブラ ンドをめぐって将来的な買収を含めた合併交渉を行っている。また、ブラジルの 乳業メーカーの買収計画も発表しており、南米市場で拡大しつつあるチーズなど 高付加価値製品の需要に対応した供給体制の整備を早急に進めている。 NZDBでは、今後、一元的輸出を取り扱う国家貿易企業としての役割だけでなく、 海外の乳業メーカーとの広域的な合併、資本提携などを積極的に行うことにより 経営基盤の強化を行っているとの見方もあり、こうした市場での経営戦略が今後 の高付加価値製品市場などにおけるNZDBの位置を決定づけるものになってくる。
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