EUの豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○減少に転じる2000年上半期の豚肉生産



上半期の生産量は前年同期を下回る873万7千トン

 EU統計局の発表によると、2000年上半期(1〜6月)のEU15ヵ国における
豚肉生産量(枝肉重量ベース)は873万7千トンと、過去最高の生産量を記録した
前年同期実績を2.5%下回る結果になった。EUの豚肉生産は、域内需要の回復や
増加する豚肉輸出を背景として97年下半期以降、前年同期実績を上回って推移し
てきたが、主要生産国を中心とした農家戸数の減少や環境問題に対する関心の一
層の高まりなど、養豚を取り巻く状況の変化により、豚肉生産は減少に転じつつ
ある。


域内の豚肉生産はイタリアを除き減少傾向

 主要国の生産動向をみると、飼養頭数の拡大や需要の拡大が伝えられるイタリ
アを除き、各国の豚肉生産量はいずれも減少となった。中でも、EU最大の豚肉生
産国であるドイツは、98年から99年上半期にかけて前年同期比で10%を超える順
調な増加を見せたものの、その後のEUの輸出補助金引き下げに伴う輸出の停滞、
さらに、農家戸数の減少などの影響を受け、2百万トン台を割り込む豚肉生産と
なった。また、イギリスでは、ポンド高に伴う豚肉製品の輸入増による国内生産
の落ち込みが目立っている。

2000年上半期のEU主要国における豚肉生産量
po-eu05.gif (4240 バイト)
 資料:EU統計局、ZMP
  注:豚肉生産量は枝肉ベース


引き続き堅調に推移する豚肉価格

 このように各国の豚肉生産が減少する中、域内の豚肉価格は堅調に推移してい
る。2000年10月のEU15ヵ国における豚枝肉平均市場参考価格は、100kg当たり14
5.6ユーロ(約1万3,540円:1ユーロ=93円)と、前月よりわずかに下がったもの
の、依然として16ヵ月連続で前年同期実績を上回っている。中でも、前年同月
比20%を超える上昇を見せたドイツやフランス、また、輸出が好調なデンマー
クの上昇が際だっている。

 これら要因としては、域内の豚肉需要が順調に回復する中で、デンマークなど
の豚肉輸出国が、ユーロ安で推移する為替動向を背景に着実な輸出実績を積み上
げており、豚肉生産の減少と相まって域内供給が減少していることが挙げられる。

 今後の価格動向については、先頃、実施された豚肉製品に対する輸出補助金の
追加引き下げや、年末にかけて増加を見せる豚肉生産により、域内への供給増が
見込まれていることから、価格は落ち着きを取り戻すものとみられている。一方、
牛海綿状脳症(BSE)に対する牛肉への懸念が各国で再発しつつあり、豚肉に対
する需要がより高まるものと期待する動きもある。

◇図:主要生産国における豚枝肉価格の推移◇

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