米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○下降基調で推移する肥育豚価格


3ヵ月連続の下落

 肥育豚価格が下降基調で推移している。米農務省(USDA)によると、2000年
10月の肥育豚価格(全米平均取引価格)は、43.0ドル/100ポンド(104円/kg:
1ドル=110円)と、前月より0.5ドル/100ポンド(1円/kg)値を下げ、8月以降
3ヵ月続きの下落となった(左図参照)。依然として前年を上回る水準で推移は
しているものの、ピーク時の今年6月に比べると、16.5%低下している。


供給増と需要減退が下落の要因

 このような価格の低下は、供給量が増えたことによるところが大きい。国内の
豚肉生産量は、2000年1〜10月で前年同期比1.7%減の707万トンと、前年水準を
下回ったものの、季節的な供給増から夏以降は増加傾向で推移している。さらに、
カナダからは、同国内での処理能力の拡大を反映して、今年1〜8月で前年同期を
25.1%上回る21万8千トンの豚肉が輸入された。一方、需要を見ると、ベーコン
人気を背景として極めて好調であったばらの需要は沈静冷凍化したと伝えられて
いる。こうしたことから、2000年10月の豚肉卸売価格(カットアウトバリュー)
は、62.5ドル/100ポンド(152円/kg)と最高値を付けた今年7月より11%下落し、
ばらの卸売価格は、56ドル/100ポンド(136円/kg)とピーク時の今年5月に比
べ4割以上値を下げた。また、冷凍豚肉在庫は、前年同月比1.6%増の19万9千ト
ンと9月末現在としては史上最高を記録し、このうち、ばらの在庫も同10.8%増
の1万トンと11年ぶりの高水準となった。

◇図:冷凍豚肉在庫の推移◇


年内は弱含みで推移する見込み

 一方、養豚経営体は、トウモロコシや大豆価格の低下に伴い飼料コストが抑え
られていることから、99年12月以降は黒字収益を維持し、生産意欲が旺盛である
とされる。さらに、2000年1〜8月のカナダ産子豚の輸入頭数は、150万6千頭と前
年同期を12.2%上回っており、これらの多くがアイオワ州などの生産地で肥育さ
れるとみられる。こうしたことから、USDAでは、今後の肥育豚価格について、
供給が潤沢である資料とみられるため今年いっぱい弱含みで推移するとし、20
00年平均では44.51ドル/100ポンド(108円/kg)と、これまでの見通しを下方
修正している。

◇図:肥育豚価格と養豚経営体のマージン◇

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