大幅に増加したブラジルのトウモロコシ輸入


2000年1〜7月の輸入量は既に99年の年間輸入量を上回る

 国家食糧供給公社(CONAB)によると、2000年1〜7月のブラジルのトウモロ
コシ輸入量は、114万3千トンと既に99年の年間輸入量82万2千トンを上回り大幅
に増加した。近年のブラジルのトウモロコシ輸入量は、98年に172万9千トンと急
増した後、99年には半分以下に減少し変動が大きいものの、増加傾向で推移して
いる。

 国別の輸入数量は、アルゼンチンが98万9千6百トン(シェア86.6%)と大宗を
占めており、この他パラグアイが13万6千6百トン(同12.0%)、米国が7千1百ト
ン(同0.6%)となっている。

◇図:ブラジルのトウモロコシ輸入量◇


輸入増の背景は生産の減少と需要の増加

 ブラジルでトウモロコシ輸入量が増加する要因として、99/2000年度のブラジ
ルにおけるトウモロコシ生産量の減少が見込まれる中で、引き続き養鶏、養豚生
産の拡大が続きトウモロコシの需要が増加しているため、在庫水準も低下し、ト
ウモロコシ需給が引き締まっているためとみられる。

 CONABが8月下旬に発表した、99/2000年度トウモロコシ収穫状況調査による
と、収穫量は前月の予測値から146万8千トン下方修正され、前年度比2.3%減の
3,164万1千トンと見込まれている。内訳を見ると、第1収穫分(収穫時期:2〜4
月)は、前月から45万4千トン上方修正され同3.6%増の2,771万5千トン、第
2収穫分(収穫時期:7〜8月)は、7月中旬に発生した霜害で単収が大幅な減少
したことから、192万2千トン下方修正され、同30.5%減の392万5千トンとなった。
生産量が大幅に減少した第2収穫分を州別に見ると、同国最大の生産州であるパ
ラナ州が前回の予測値から161万9千トン下方修正され120万4千トン、サンパウロ
州が22万6千トン下方修正され30万1千トンとこの2州における霜害による影響が
著しかった。特に、サンパウロ州は、7月の霜害に加えて今年上半期における干
ばつによる影響で、前年度と比較し66%減と大幅な減産見込みとなった。

 また、CONABが発表した99/2000年度のトウモロコシ需給報告(9月18日現在)
によると、期首在庫(2000年2月1日現在)は161万6千トン、生産量は3,164万1千
トン、消費量は前年度を70万トン上回る3,570万トン、輸入量は霜害による国内
生産量の大幅な減少から、前回の予測値を60万トン上回る260万トンとなり、そ
の結果、期末在庫は15万7千トンと低水準になると予測されている。


需給を反映し、2000/01年度の作付面積は拡大か

 最近のトウモロコシ需給状況について、ブラジルのトウモロコシ生産者は次の
ようにみている。

@価格が作付意欲を刺激するレベルにある

A需給バランスから見て供給不足がしばらく続くとみられる

B作付用種子の販売量が今年度を上回っている

C米国産大豆が史上最高の生産量と予測される中、同国の主要な農産物輸出産品
 であり、国際市況の影響を強く受ける大豆よりトウモロコシの方が価格の優位
 性が高いとみられる

 このため、2000/01年度のブラジルにおけるトウモロコシの作付面積は、増加
することが予測される。

 なお、CONABは、10月16日から南部・中西部などの2000/01年度穀物作付意向
調査を開始すると発表している。

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