米国産トウモロコシ輸入への相殺関税適用を暫定的に開始(カナダ)


ブッシェル当たり1.58ドルを適用へ

 カナダ関税税務庁(CCRA)は11月7日、米国産トウモロコシ(食品向けの一部
の品種を除く)のマニトバ州への輸入について、ダンピングおよび補助金の存在
を仮認定し、同日付けでブッシェル当たり1.58ドル(約174円:1ドル=110円)
の相殺関税の適用を暫定的に開始したことを明らかにした。

 これは、マニトバ州トウモロコシ生産者協会(MCGA)の申し立てに基づくも
ので、同協会は、事実上補助金を受けた米国産トウモロコシがダンピング輸入さ
れており、マニトバ州の生産者が市場シェアを損失し、赤字販売を強いられるな
どの損害を受けたと主張している。

 MCGAは、補助金に相当するものとして、米国の価格支持融資制度やエタノー
ル生産者への税額控除制度を挙げている。


米国政府は事実誤認と強く反発

 これに先立ち、カナダ国際貿易裁定委員会(CITT)は10月10日、米国産トウモロ
コシ(食品向けの一部の品種を除く)のダンピングなどによる低価格輸入で、カナ
ダのトウモロコシ生産者が損害を受けたとの事実を仮認定していた。

 この際、米国政府はグリックマン農務長官とバシェフスキー通商代表が共同でこ
れを非難する声明を発表した。グリックマン長官は、「トウモロコシ価格は世界中
で低迷しており、カナダだけでなく米国の生産者も打撃を受けている。こうした事
実にもかかわらず、今回の決定が行われたことには失望した」と述べた。

 また、バシェフスキー代表は、マニトバ州でトウモロコシ生産量が96年以降約2
倍にまで増加していることや、99年には米国のカナダ向け輸出額が前年より3,300
万ドル(約36億3千万円:1ドル=110円)減少していることを考慮すれば、米国の
輸出とカナダの生産者の収入減に何ら因果関係は見当たらないと、カナダ政府の
判断を批判した。


最終決定は2001年の2月〜3月に

 カナダ政府のダンピングおよび補助金の認定手続きは、ダンピングなどの事実
や額などについてはCCRAが、損害発生の有無などについてはCITTがそれぞれ調
査を行うこととされている。今後も両機関は引き続き調査を継続し、CCRAは20
01年2月1日、CITTは2001年3月7日までに最終決定を下すことになっている。グリ
ックマン農務長管は10月のCITTによるダンピングなどに起因する損害の仮認定時
に、今後の展開について世界貿易機関(WTO)合意内容の観点から注意深く検討
するとともに、引き続き米国の生産者の利益を守っていくことに全力を傾けると
コメントしており、カナダの最終決定と合わせて、米国の出方も注目される。

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