◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、99年の牛肉生産量(枝肉ベース)は、1,198万ト ンと前年比3.0%増になると見込まれる。牛肉生産が拡大したのは、と畜頭数と 枝肉重量がともに増加したことによる。特に、と畜頭数は、キャトルサイクルが 依然として下降局面にあるにもかかわらず、未経産牛が更新牛として保留されず に肥育用に仕向けられたことなどから、前年を2.1%上回る3,621万頭となった。 また、枝肉重量も、肥育期間の長期化などにより、98年よりもさらに0.8%増加 し、334kg/頭に達した。このため、99年の牛肉生産量は、6%程度減少するとい う1年前の予想に反して98年の水準を上回り、過去最高となった76年(1,164万ト ン)の記録をも塗り替えるとみられる。 ◇図:牛と畜頭数と枝肉重量の推移◇
一方、99年の肥育牛価格(ネブラスカ州の相対取引価格、去勢、1,100〜1,300 ポンド)は、平均で65.6ドル/100ポンド(150円/kg:1ドル=104円)と前年よ り6.6%上昇すると見込まれる。豚肉などを含めた食肉全体の生産量が多かった 中で、肥育牛価格がこのように大幅に上昇した理由としては、内外からの牛肉需 要が堅調であったことが挙げられる。中でも、国内のホテルやレストラン部門か らの高級牛肉に対する需要が、好況に後押しされて極めて旺盛であったことから、 供給不足となったチョイス級牛肉の卸売価格は春以降高騰し、セレクト級との価 格差は大幅に広がった。このようなチョイス級以上の牛肉への需要の高まりが牛 の肥育期間を長期化させるとともに、と畜頭数の増加を促したとみられる。 ◇図:牛肉の卸売価格◇
業界では、2000年の牛肉需要について、ミレニアム特需の終息などにより、 加熱気味であった99年からは沈静化するとみている。USDAでは、肥育素牛不足 によりフィードロットへの導入体重が一層軽量化するものの、チョイス嗜好に伴 って肥育期間が引き続き長期化するとともに、去勢牛のと畜割合も増加するとし て、2000年の枝肉重量は、おおむね99年水準を維持すると分析している。しかし、 と畜頭数はキャトルサイクルを反映し減少するとして、2000年の牛肉生産量は99 年より4%程度減少すると見込んでいる。また、USDAは、2000年の肥育牛価格は、 減産見込みから99年をさらに上回り、平均で70ドル/100ポンド(160円/kg)を 突破する場合もあり得るとしている。 ◇図:牛肉生産量および肥育牛価格の推移◇
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