◇絵でみる需給動向◇
タイ農業協同組合省は、99年12月7〜18日の間、獣医師を含むEUの検査官によ る鶏肉処理施設の現地検査が実施され、9施設について、EU向け輸出の基準を満 たしているとされたと発表した。 この検査では、@個々の鶏肉処理施設と、農業協同組合省による監督・連絡体 制などがきちんと機能していること、A飼料工場などを含めた食肉関連処理施設 が、EUの基準通りに設計にされていること、B養鶏農家が基準通りの飼養方法を 行っていること、の3点を重点に、鶏肉加工施設やふ化場、種鶏場、養鶏農家、 飼料工場など関連施設を検査した。 鶏肉処理加工業者は、EUが求める輸出基準を満たすため、処理施設の改善補修 費に、合計で10億バーツ(1バーツ=2.8円)とも言われている投資をして、検査 に臨んでいた。今回の検査において、すべての処理施設で処理手順や処理工程に 問題があるとされたものの、それらの改善などを条件に、2施設を除き輸出が許 可された。一方、農業協同組合省では、EUの要求する衛生条件を満たすため、ア ジア開発銀行から約3億9千万バーツの融資を受けて、肉質などの検査を実施する 国立の研究所を建設することとしており、同省と鶏肉処理加工業者の双方に、EU 市場拡大への意気込みが見られる。 なお、この検査の正式な結果は、1月にEUからタイに伝えられ、3月中にも公表 されるものと同省では見ている。
タイ大蔵省の発表した99年9月の冷凍鶏肉輸出(速報値)は、数量が19,958ト ン、金額が14億1,560万バーツとなっている。これを、1トン当たりの価格で見る と、前年同月比9.1%安の70,929バーツとなり、20%以上の大幅な下落の見られた 99年1月と比べると、安値ながら安定してきている。これを主な輸出国別に見ると、 もも肉などを主体とする日本向けが1トン当たり72,105バーツ、胸肉などの高価格 部位を主体とするEU向けが80,077バーツ、モミジ(足の部分)などの低価格部位 を含む中国向け(香港を含む)が31,939バーツとなっている。 一方、これを米ドルベースで見ると、99年9月は輸出全体で前年同月比7.4%安 の1トン当たり1,822ドル(1ドル=約104円)と、通貨危機により急速に輸出価格 の低下した98年4月の1,834ドルを下回り、過去5年間で最低の価格となっている。 また、日本向け輸出価格も、1トン当たり1,853ドルと、最低となった。これは、 値下げ攻勢などでブラジルからの輸出が増加したことによる鶏肉国際価格の低下 や、国内での消費不振による供給過剰などによるものが主な要因であるとみられ ている。99年12月時点において、日本向け輸出で1トン当たり1,500ドル程度での 取引がされていることもあり、今後さらに米ドルベースでの輸出価格が低下する ものとみられている。 ◇図:ブロイラー平均輸出価格とバーツ為替相場◇
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