◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、99年1〜10月のブロイラー輸出量(可食処理ベ ース)は、前年比3.0%減の175万トンとなった。輸出先別に見ると、アジア向け は、経済の回復に伴い、日本を除いて増加した。中でも、香港向けは、食肉需要 の旺盛な中国が背後に控え、前年同期を28.4%上回る44万5千トンと、最大の輸 出市場となった。また、北米市場では、メキシコ向けが前年同期比8.3%増の11 万トン、カナダ向けも同14.3%増の5万5千トンと、いずれも前年同期を上回った。 しかし、94年以降最大の輸出先であったロシア向けは、18万9千トンと経済混乱 の継続により前年の3割程度に激減した。ロシアにう回輸出されているとみられ る旧ソ連諸国へは、ラトビア向けが前年同期比2.5倍の27万2千トンとなるなど急 増した。しかし、これらの近隣諸国を含めた旧ソ連向け輸出量は前年同期の6割 程度にとどまっている。このため、USDAでは、99年通年の鶏肉輸出量は、ロシ ア向け大幅減少の影響から、前年比0.9%減の210万トンと、84年以来15年ぶりの 前年割れとなるとみている。 ◇図:輸出先別鶏肉の輸出量◇
ロシア向け輸出には、99年2月の政府間合意に基づく援助輸出分が含まれてい る。ロシア向け援助輸出については、同年8月に鶏肉5万4千トンがPL480号タイト ルI(低利融資による輸出プログラム)に基づき輸出された。さらに、USDAは 11月、ロシア政府からの食料の追加支援要請を受けて、鶏肉2万6千トン、金額に して1,100万ドル相当(11億4,400万円:1ドル=104円)の追加輸出に合意した。 これに伴い、12月には20,034トンの鶏もも肉がロシアの在米買い上げ機関によっ て買い上げられ、2000年1〜2月にかけて船積みされる予定となっている。
このように、ロシアへは2000年も援助輸出が実施されることとなったものの、 その量は99年1〜10月の輸出実績の1ヵ月相当分をわずかに超えるにすぎない。 大幅に落ち込んでいる民間ベースでのロシア向け輸出は、同国経済が混乱からの 脱却に目途が立っていないことから、依然として低迷が続くとみられる。しかし ながら、USDAでは、アジア向け輸出が99年より伸び率は鈍化するものの量的に は増加するとして、2000年の総鶏肉輸出量は前年比1%増の212万トンと97年並み に回復するとしている。一方、輸出価格については、USDAは、需要の伸びがあ まり期待できないこと、他の輸出国との競合が激化することなどから、99年に続 いて低下傾向になると見込んでいる。 ◇図:鶏肉輸出量の推移◇
元のページに戻る