世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○豪州の飼料穀物生産、1千万トンを大きく割りこむ見込み


豪州はわが国への重要な飼料穀物供給国

 豪州の飼料穀物生産は、米国に比べると、スケールでは大きく見劣りするもの
の、わが国にとっては大麦、えん麦などの供給国として重要な地位にある。特に、
大麦については、わが国の全輸入量の6割近く(98/99年度で80万トン強)を占
める。

 また、同国の飼料穀物生産は常に干ばつの脅威にさらされ、過去の生産量の推
移を見ても、幾度となく気象条件の影響を強く受け、大きな変動を繰り返してき
た。


米国と異なりトウモロコシの生産シェアはわずか

 豪州の国土面積は、769万2千km2と日本の20倍の広大な面積を有するものの、
穀物生産地帯は降水量の多い地域に限定される。主な生産地帯は、クインズラン
ド(QLD)州の南東部、ニューサウスウェールズ(NSW)州の東部、ビクトリア
(VIC)州およびサウスオーストラリア(SA)州の南部、ウェスタンオーストラ
リア(WA)州の南西部などである。

 穀物生産は、春季(9〜11月)に播種して秋季(3〜5月)に収穫する夏穀物と、
秋季に播種して春季に収穫する冬穀物に大別される。夏穀物としてはソルガムに
代表され、また、冬穀物としては小麦、大麦、えん麦などがある。

 豪州の飼料穀物生産の主体は、伝統的に大麦、えん麦およびソルガムであり、
トウモロコシを主体とする米国と比較し、生産される作目に大きな違いが見られ
る。

◇図:豪州・米国の飼料穀物生産の比較◇
・豪州(98/99年度)
・米国(98/99年度)


99/2000年度の生産量は前年度より約2割減の見込み

 豪州農業資源経済局(ABARE)によれば、99/2000年度の飼料穀物生産は、前
年度比19%減の811万3千トンと、94/95年度の干ばつ被害以来5年ぶりに1千万
トンの大台を下回ると見込まれている。これは、気象条件はおおむね降雨に恵ま
れているものの、飼料穀物価格の低迷により、生産者が収益性の高い油糧種子な
どの作目を選択したり、休耕する傾向を強めているためとされる。さらに、肉牛
価格が好調なことから牧草地に転換する生産者も見られる。

大麦は23%減、ソルガムは16%減の見込み

 大麦は飼料穀物の中心で、全体の生産量の5〜6割を占めている。99/2000年度
の生産量は前年度比23%減の436万トンと見込まれる。飼料穀物の中では輸出割
合が高く、6〜7割が輸出に向けられる。州別の生産量では、SA州が全体の33
%を占める145万トン、WA州が同じく21%の92万トンなどとなっている。99/
2000年度の大麦価格は、生産減から需給が一転して引き締まることから、前年度
より15%上回る161豪ドル(11,300円:1豪ドル=70円)/トンと見込まれている。

 一方、ソルガムは全体の生産量の2割弱を占める。99/2000年度の生産量は前
年度比16%減の139万1千トンと見込まれている。大麦と異なり生産の8割強が国
内向けとなっている。州別生産量では、QLD州が全体の58%を占める81万2千ト
ン、NSW州が同じく41%の57万6千トンで、両州で全体の生産量のほとんどを占
めている。

豪州における飼料穀物生産の推移
grain05.gif (12585 バイト)
 資料:ABARE
 注1:98/99年度は暫定値、99/2000年度は見込値。	
  2:大麦、えん麦の年度は11〜10月、ソルガム、トウモロコシは3〜2月。
  3:在庫の関係で、国内向けと輸出向けの合計は、必ずしも生産量の
    数値と一致しない。
  4:輸出向けの欄のマイナスの数値は、輸入量。

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