EUの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○99年前半の乳製品輸出、バター、チーズは減少、脱脂粉乳は回復


98年の乳製品の域外輸出、軒並み大幅に減少

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、98年におけるEU15ヵ国の主要
乳製品の域外輸出量は、全粉乳を除きいずれもかなり大きく減少した。特に、バ
ターは前年比25.7%減、脱脂粉乳は同38.7%減と大幅に減少している。チーズは、
ガット・ウルグアイラウンド(UR)合意に基づく輸出補助金削減による競争力の
低下により、95年以降、緩やかな減少が続いていたが、同13.4%減と近年にない
大きな落ち込みを見せた。

◇図:EUの主要乳製品の域外向け輸出量◇


ロシア、メキシコ向け輸出の減少が要因

 バター、チーズの輸出減少は、98年8月の通貨ルーブル切り下げの影響により、
EU最大の輸出先であるロシア向けが激減したことが最大の要因となっている。こ
の結果、ロシア向け輸出の占めるシェアは、97年と比較して2分の1以下に縮小し
た。

 一方、脱脂粉乳について、最大の輸出先であるメキシコ向けを見ると、94年以
降、同国向け輸出量は安定的に拡大を続けていたが、98年は前年実績の4分の1
に当たる2万8千トンに減少した。これは、@米国が98年5月に乳製品輸出促進
計画(DEIP)の未使用枠をカリブ・中南米向けに追加配分を行った結果、米国の
メキシコ向け輸出が増加したことや、Aニュージーランドが中南米市場の開拓を
進め、同地域への輸出を増加させているとみられることなどが影響している。加
えて、EUの第2の市場であるアルジェリアが脱脂粉乳の輸入を全粉乳にシフトし
たことが、EUの脱脂粉乳の輸出減少に拍車をかけた。

◇図:メキシコの脱脂粉乳輸入量◇


99年、バター、チーズは引き続き減少、脱脂粉乳は回復

 99年1〜7月の輸出量を見ると、ロシア向けが低水準で推移しているバターお
よびチーズは引き続き減少している。これとは対照的に、脱脂粉乳は、前年同期
比32.8%増の15万8千トンに回復基調に向かっている。
  EUは、98年の輸出不振などにより、脱脂粉乳の域内価格が低迷し、介入在庫が
増加したことに対処するため、99年2月から輸出補助金を増額した。競争力が強
化された結果、その後、メキシコ、アルジェリア向けを中心に輸出を回復させて
いる。なお、脱脂粉乳の域内需給バランスが改善に向かったのを機に、99年10月
末から輸出補助金は元の水準に引き下げられている。

EUの主要乳製品の輸出量
mi-eu07.gif (2980 バイト)
 資料:ZMP、Agra Europe
  注:99年は1〜7月	

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