米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○2000年は生乳の増産と価格下落がともに継続か


99年の生乳生産量は3%増の見込み

 米農務省(USDA)によると、99年の生乳生産量は、前年比3.0%増の7,350万ト
ンと、史上最高を更新すると見込まれる。この増産は、経産牛頭数の減少に歯止
めがかかったことに加え、1頭当たり乳量が増加したことが要因となっている。
経産牛頭数は、加工原料乳の支持価格が高水準であった85年を最後に減少の一途
をたどっていた。しかし、96年以降収益性が総じて良好となったため、西部諸州
を中心に生産者の増頭意欲が向上するとともに、小規模経営の廃業も抑制されて、
99年は、916万頭と前年水準を維持するとみられる。さらに、1頭当たり乳量は、
春以降天候に恵まれ、アルファルファなどの良質な粗飼料が安価かつ潤沢に供給
されたことから、夏から初秋にかけて大幅に上昇し、通年では前年を3.0%上回
る8,033kg/頭に達するとみられる。こうしたことから、生乳生産量は97年以来
3年連続の増加が見込まれる結果となった。

◇図:経産牛頭数および1頭当たり乳量の推移◇


前年より低下した99年の生乳価格

 一方、99年平均の生乳生産者販売価格(グレードA(飲用規格乳)価格および
グレードB(加工用規格乳)価格の加重平均)は、前年比3.8%安の14.85ドル/
100ポンド(34円/kg:1ドル=104円)にとどまると見込まれる。生乳価格は、
チーズなどの乳製品の堅調な需要を背景に99年4月以降上昇を続けていたが、供
給増に伴う需給の緩和から9月をピークに一転して低下傾向で推移した。このた
め、99年の生乳生産者販売価格は、生乳生産の伸び悩みから過去最高を記録した
98年の水準を下回る結果となった。

2000年は生産増加も価格は再び下落へ

 USDAは、2000年の生乳生産について、経産牛頭数が、生乳価格の下落を受け
て今後減少傾向で推移するものの、2000年通年では前年並みを維持するとし、ま
た、1頭当たり乳量も大きな天候上の問題が生じない限り前年水準を上回るとし
て、前年比1.7%増の7,480万トンになると見込んでいる。一方、チーズをはじめ
とした乳製品の需要は、好況が継続するため、引き続き堅調に推移していくとみ
られるものの、生乳生産が増加することから、生乳価格は、99年に続いて下落し、
年平均では12ドル台後半となるとUSDAでは分析している。

◇図:生乳生産量および生乳価格の推移◇

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