米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○減少が続く豚飼養頭数


総飼養頭数は年間を通じて減少

 米農務省(USDA)が先ごろ発表した99年12月1日現在の飼養動向調査によると、
豚の総飼養頭数は、前年同期比4.5%減の5,941万頭となった。過去最高を記録し
た98年9月時に比べると6.4%の減少で、97年6月以来の5千万頭台である。総飼養
頭数は、98年11月に肥育豚価格が大暴落したことを受けて、99年第1四半期に2
年ぶりに減少に転じて以来、1年を通じて減少する結果となった。州別では、全
米第1位のアイオワ州が肥育豚頭数の増加から前年同期より増えたものの、他の
上位4州はいずれも前年水準を下回った。また、99年に豚飼養の実績がある経営
体数は、前年比13.5%減の98,460戸と前年を大きく下回り、初めて10万戸を割り
込んだ。生産コストを大きく下回る肥育豚価格の大暴落の影響などで中小規模層
を中心に多くの経営体が廃業したことから、結果として戸数減が頭数減を上回り、
米国全体として規模拡大が一層進展したことがうかがえる。上位5州で見ると、
アイオワ州が全米平均を上回る減少幅となった。

過去最低の繁殖豚頭数、産子数は増加

 頭数の内訳を見ると、繁殖豚頭数(雄を含む。)は624万頭と、前年同期より
6.6%減、また、過去最低を記録した前回(9月現在)調査時より0.9%減とさらに
最低記録を更新する水準となった。この減少は、98年秋以来の肥育豚価格低迷の
影響から赤字経営が続き、小規模生産者を中心とした廃業が続いていることが主
な要因とみられる。さらに、専門家の間では、資本力のある大規模経営は、中小
規模の経営を吸収しても、繁殖豚のすべてを引き取っているわけではないことが
減少の一因とする見方もある。これらの専門家は、大規模経営は、効率的な生産
により、産子数および分娩率の向上、枝肉重量の増加などを図っているため、従
来と同じ規模の繁殖基盤を維持する必要がないと分析している。こうした分析を
裏付けるように、99年平均の1分娩当たり産子数は前年比1.0%増の8.8頭と増加傾
向が継続した。

◇図:繁殖豚頭数および産子数の推移◇


2000年のと畜頭数は通年で減少の見込み

 一方、肥育豚頭数は、すべての体重階層で前年比4〜5%の減少を示した。これ
により、業界では、2000年前半のと畜頭数について、第1四半期が前年同期比3%
減、第2四半期が3〜4%減といずれも減少を見込んでいる。また、USDAの生産者
意向調査に基づく分娩予定頭数は、99年12月〜2000年2月が前年同期比2.8%減、
2000年3〜5月が5.2%減となっていることから、2000年後半のと畜頭数も減少す
るとみられる。このように、2000年は1年を通じてと畜頭数の減少が見込まれる
ことなどから、USDAでは、豚枝肉生産量を前年比3.7%減の845万トンと見通し
ている。

◇図:体重階層別肥育豚頭数◇

豚の総飼養動向(99年12月1日現在)
po-us07.gif (6410 バイト)
 資料:NSASS/USDA「Hogs and Pigs」
 注1:戸数は、99年に豚を飼養した実績のある経営体数
  2:肥育用、繁殖用ともに雌雄の計

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