タイ政府、2000年飼料輸入政策を公表


トウモロコシは、飼料生産者への配慮が色濃い政策に

 タイ政府は、2000年における飼料輸入政策を決定・公表した。これによると、
昨年と同様の政策が引き続き採られており、飼料生産者保護色の強いものとなっ
ている。

 トウモロコシは、20%の関税率により輸入される割当数量を、99年は世界貿易
機関(WTO)合意水準である53,253トンのみとしていたが、今年もWTO合意水準
である53,543トンのみとなっている。また、輸入可能な期間も、99年と同じく3
月1日から6月30日までの端境期に限定している。これは、2000年におけるトウモ
ロコシの国内生産量が、479万トンと国内需要予測量の366万トンを上回っている
ためとみられている。なお、割当数量枠外での輸入には、WTO加盟国からは76.2
%の関税と1トン当たり180バーツ(約5百円:1バーツ=約2.8円)の輸入課徴金、
WTO非加盟国からは6%の関税と1トン当たり1,000バーツ(約2千8百円)の輸入課
徴金が課せられることとなった。


大豆類や魚粉は、輸入量と輸入期間に制限設けず

 大豆ミールは、今年の需要量が168万トンと見積もられており、国内生産予測
量56万トンとの差である112万トンを輸入によって賄うこととしている。このた
め、大豆および大豆ミールの輸入量と輸入期間には、昨年同様に制限を設けてい
ない。しかし、タイブロイラー加工輸出協会など5団体を輸入指定団体とし、別
途政府の決定する価格での国産大豆ミールの全量買い取りを義務付けることで、
5%の関税率での輸入が可能となっている。なお、指定団体以外の者が輸入する
場合、WTO加盟国からの場合には119%の関税、WTO非加盟国からの場合には6%
の関税と1トン当たり2,519バーツ(約7千円)の輸入課徴金が課せられることと
なった。

 魚粉は、需要量が87万トン、国内生産量57万トン、輸出量5千トンとの予測か
ら、不足分約30万トンの輸入が必要であると見積もられている。このため、魚粉
(タンパク質含量が60%以上のもの)の輸入量と輸入期間についても昨年と同様、
制限は設けられていない。また、関税率についても、昨年と同様15%に据え置か
れている。しかし、アセアン自由貿易圏(AFTA)の取り決めにより、東南アジ
ア諸国から輸入するものについては、5%の低関税率を適用することとなってい
る。


コスト削減のため、家畜飼養者は無税輸入枠を求める動きも

 これらの政策に対し、家畜飼養者などは、現在、トウモロコシ価格が1kg当た
り4.50バーツ(約12.5円)と高騰しているのは、供給不足が原因であり、2000年
においては50万トン程度の供給不足が発生すると予測されることから、70万トン
から80万トンの無税輸入枠が必要であるとしている。タイでは、鶏肉などの輸出
競争力を確保するため、安価な輸入飼料による生産コストの削減が課題となって
いるが、今回公表された政策により飼料価格が高騰し、コストが上昇することが
懸念されている。

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