USDA、国家貿易企業の分類案を公表(米国)


貿易わい曲度別に分類

 米農務省(USDA)は先ごろ、次期世界貿易機関(WTO)交渉における交渉課
題の1つになるとみられる国家貿易企業(STE)について、これらを4つのタイプ
に分類する案を公表した。

 WTO協定上、STEは、「政府又は非政府の企業(販売に従事する機関を含む。)
であって、購入及び販売を通じ輸入又は輸出の水準又は仕向け先に影響を及ぼす
排他的又は特別な権利又は特権(法令又は憲法上の権限を含む。)を付与された
もの」と定義されている。

 WTO加盟国は、WTOに対して、定期的に自国のSTEの活動について通報すること
が義務付けられている。95年および96年には、30ヵ国以上の加盟国が、約100の
農業関連機関がSTEに定義され得るとWTOに通報している。

 USDAによるSTEの分類案は次の通りである。

・タイプT:国内市場も貿易も管理しないため、市場への影響力は、仮にあった
     としても、ほとんどないタイプ

・タイプU:国内市場を管理するだけで、貿易わい曲の潜在性が低いタイプ

・タイプV:国内市場での競争は認めるが、対外貿易では認めないため、ある程
     度貿易わい曲の潜在性があるタイプ(例:輸出独占企業)

・タイプW:貿易および国内市場双方に排他的または特別な権利を有するため、
     他の3つのグループに比べ貿易わい曲の能力が大きいタイプ


加盟国の主要STEをタイプ・またはタイプ・に分類

 以上のような分類を踏まえ、USDAは、WTO加盟国の主要STEを次のように分類
している。

 輸出STEでは、ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)が、ニュージー
ランド産乳製品の唯一の輸出業者としての法的権限を有しているものの、国内市
場および輸入の権限は有していないため、タイプ・に分類されている。また、豪
州小麦ボード(AWB)およびクインズランド砂糖公社(QSC)も、輸出独占企業
としてタイプ・に分類されている。他方、カナダ小麦ボード(CWB)は、小麦お
よび大麦の国内市場(飼料用を除く。)における調達・販売および輸出について
排他的な権限を有しているため、タイプ・に分類されている。

 輸入STEでは、日本の食糧庁が、米に関してタイプ・に分類されるとともに、
小麦および大麦に関してタイプ・に分類されている。このほか、中国のSTEは穀
物に関してタイプ・に分類されるとして、特別の分析が試みられている。


自国のSTEはタイプ・またはタイプ・と分析

 米国は、自国の商品金融公社(CCC)を、国内市場に関しても貿易に関しても
排他的な管理を行っていないなどとしてタイプ・またはタイプ・に分類している。
このようにして米国は、次期交渉では自国のCCCを守る一方、タイプ・およびタ
イプ・のSTEに注意を仕向けようとしている。しかしながら、関係国は、輸出信
用保証事業を行うCCCが米国の希望する分類に入るとは見ていない。

国家貿易企業(STE)の分類案
ste.gif (5273 バイト)
 資料:USDA「An Introduction to State Trading in Agriculture」(99年10月)

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