◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年第1四半期(1〜3月)の牛肉輸出量(枝肉 重量ベース)は、前年同期比30.4%増の33万3千トンとなった。この期間に援助 輸出が集中したロシアを除いても、27万9千トンと前年同期を9.8%上回っている。 輸出先を国別に見ると、最大の市場である日本は、前年同期比3.0%増の12万7千 トンと、景気低迷の中にあって健闘し、第2位のメキシコも、飼養頭数の減少に よる影響で供給が減少したのに加え、原油価格の高騰に伴う好景気により需要が 拡大したことから、6万トンと前年同期を29.5%上回った。また、輸入牛肉市場 における米国産牛肉のシェアが6割を占める韓国は、景気の回復による需要増お よび2001年の輸入自由化を見越し、需要を反映した合理的な流通の推進がなされ るなどにより、前年同期比25.1%増の4万1千トンとなった。 ◇図:牛肉の国別輸出量◇
一方、今年第1四半期の牛肉輸入量(枝肉重量ベース)は、輸出とほぼ同量の 33万3千トンと、前年同期を16.9%上回った。増加の要因としては、経産牛のと 畜減で国内の加工用牛肉市場がタイトとなり、豪州およびニュージーランド産カ ウミートの需要が高まったことが挙げられる。このため、豪州からの輸入が前年 同期比8.4%増の8万3千トン、前年は落ち込みを見せたニュージーランドが48.4 %増の9万3千トンと、いずれも前年を上回った。また、チョイス級牛肉の需要の 拡大を受けて、穀物肥育牛肉の最大の調達先であるカナダからの輸入は、10万ト ンと前年同期を6.3%上回った。さらに、調理済みなどの簡便な食品に対する需 要の増加に対応して、加熱処理済み牛肉を供給するブラジルからの輸入も、前年 同期比14.3%増の2万1千トンとなった。なお、加熱処理済み牛肉から高級部位主 体の牛肉へと供給がシフトしているアルゼンチンからの輸入は、前年同期比2.4 %減の1万8千トンにとどまった。 ◇図:牛肉の国別輸入量◇
USDAでは、2000年通年では、輸出入とも第1四半期の傾向が継続して推移す るため、輸出が前年比3.1%増の109万トン、輸入が4.9%増の137万トンといず れも前年より増加するとしている。しかし、2001年については、輸入は、経産 牛のと畜減が継続するため、引き続き前年を上回るものの、輸出は、国内生産 の減少に伴う価格の上昇により、前年より減少すると見込んでいる。
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