米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○第1四半期のブロイラー輸出、数量増も価格の低下続く


輸出量は対ロシア援助の実施で急増

 米農務省(USDA)によると、2000年第1四半期(1〜3月)のブロイラー輸出量
(可食処理ベース)は、前年同期比42.7%増の67万1千トンとなった。このよう
な大幅増は、昨年決定したロシアへの援助輸出が今年に入って船積みされたこと
によるところが大きい。ロシアについては、天然資源の輸出増加やインフレ率の
低下などにより、経済が緩やかながら回復していると伝えられていることもあり、
同国向け輸出は、前年同期の3倍近い17万9千トンとなった。ロシア当局は4月10
日以降、自国と陸続きでない輸出国に対し、指定の港以外での荷下ろしを禁止す
る措置を講じている。このため、米国産ブロイラーの多くがロシアへう回輸出さ
れるとみられるバルト海諸国へは、この措置の施行を前に駆け込み輸出が続出し、
ラトビア向け輸出は、前年同期を50.4%上回る8万9千トンとなった。そのほかの
輸出市場では、日本向けがブラジルなどとの競合が強まったため、前年同期比12
.9%減の2万4千トンにとどまったものの、香港やメキシコ向けは、需要増からそ
れぞれ前年同期比1.9%増の15万トン、22.2%増の3万7千トンといずれも前年同期
を上回った。

◇図:ブロイラーの国別輸出量◇


競合激化で輸出価格が引き続き低下

 これに対し、輸出価格は、98年以降低下が続いている。99年における冷凍鶏肉
(もも肉)の輸出価格は、主な輸出市場で軒並み値下がりし、平均では前年比20
.8%安の601ドル(65,509円:1ドル=109円)/トンとなった。低下の主な要因と
しては、国内のみならず、タイやブラジルなどの主要輸出国でも生産が増加した
ことによる競合の激化が挙げられる。こうした状況は今年に入っても続いており、
2000年1〜2月の平均輸出価格は、533ドル(58,097円)/トンと、99年よりさら
に値を下げた。

◇図:冷凍鶏肉(もも)の輸出価格◇


輸出量は2001年も増加見込み

 2000年通年のブロイラー輸出について、USDAは、価格は低下するものの、ロ
シアおよびアジア諸国の需要が増加するため、数量は前年比4.4%増の225万トン
に達するとして、これまでの見通しを上方修正した。また、2001年の輸出量は、
経済回復が進行するロシアや、直接輸出が可能となり、経済成長も見込まれる中
国で需要が増加することから、USDAでは、前年比1.0%増の227万トンまで増加
すると見通している。

元のページに戻る