◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)は5月中旬、2000/01年度(2000年9月〜2001年8月)の穀 物需給見通しを公表した。これによると、世界最大のトウモロコシ消費・輸出国 である米国の需要量は、国内需要、輸出とも前年度より増加することから、全体 では前年度を1.0%上回る2億3千4百万トンと、96/97年度以降の増加傾向が継続 するとみられる。主な用途別の見通しは次の通り。 ◇図:米国のトウモロコシ需要量◇ (飼料用) 総需要量の約6割、国内市場に限ると4分の3のシェアを有する飼料用需要は、 生産増に伴う価格の低下、畜産物生産の増加、代替作目であるソルガムの供給減 を反映して、99/2000年度には前年度比3.3%増の1億4,350万トンに達するとみら れる。2000/01年度も、生乳、食肉などの畜産物生産が増えることから、1億4,4 20万トンとほぼ前年度並みの需要が見込まれる。 (食用、工業用等) 総需要量の約2割(国内向けの4分の1)を占める食用、工業用等需要は、主要 カテゴリーでの増加が見込まれることから、99/2000年度には前年度比4.6%増 の4,900万トンとなるとみられる。2000/01年度も5千万トンと2.3%の増加が見 込まれる。主要カテゴリーについては以下の通りであるが、いずれも2000/01 年度の需要は増加が見込まれる。 ・最大のシェアを占める異性化糖向けは、ソフトドリンク等の堅調な需要を受け て増加傾向で推移しており、前年度比2.7%増の1,470万トン ・異性化糖向けとほぼ同じシェアを有する燃料用アルコール(エタノール)向け は、環境への負荷の点でガソリンより優れることなどから需要が増加し、前年 度比2.7%増の1,410万トン ・スターチ向けは、好景気による壁材やパルプ需要の伸びから前年度比2.0%増の 640万トン ・グルコースおよびデキストロース向けは、ベーカリー部門以外の需要増から前 年度比2.2%増の570万トン ◇図:トウモロコシの食用、工場用需要の内訳◇
一方、輸出向けは、中国が積極的な輸出攻勢により、前年度の2.5倍に相当す る9百万トンを輸出するとみられることから、国際市場での競争が激化し、99/ 2000年度には、前年度比5.4%減の4,760万トンにとどまると見込まれる。しかし、 2000/01年度は、世界全体の貿易量は前年並みで推移するものの、中国からの輸 出が減産と国際価格の下落を受けて減少するとされるため、前年度比1.1%増の 4,830万トンまで回復すると見込まれる。
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