◇絵でみる需給動向◇
豪州のチーズ生産は、国内外、特にアジア諸国を中心とした需要の高まりと、 巧みな輸出戦略により、90年代に入り増加傾向で推移している。 豪州酪農庁(ADC)の資料によると、 98/99年度(98年7月〜99年6月)のチ ーズの生産量は、前年度を5.9%上回る32万9千トンとなった。 乳製品生産が全体的に拡大傾向を示す中で、チーズ生産もここ10年間では72% 増と高い伸びを見せている。 種類別の生産動向を見ると、98/99年度では総生産のおよそ6割を占めるチェ ダータイプ(プロセスチーズを含む)が18万8千トンと前年度をわずかに下回っ たものの、カッテージやクリームなどフレッシュタイプは4万9千トンと前年度を 5.6%上回った。また、ピザ用などの需要が増加していることを反映し、シュレ ッドタイプは前年度を16.1%上回る5万2千トンと大きく伸びている。 ◇図:種類別チーズ生産量(99年)◇
こうしたチーズ生産の拡大は、日本向けを中心とする輸出増加の影響が大きい。 98/99年度のチーズ輸出量は、前年度を14.2%上回る17万2千トンとなった。この うち42%を占める日本向けは、前年度を6.9%上回る7万3千トンとなり、最高の輸 出実績を記録した。主力品目であるチェダータイプのほか、クリームチーズ、モ ツァレアなどのフレッシュタイプの輸出が目立っている。これは日本における、 イタリア料理の流行や、若年層を中心とした食習慣の変化によるところが大きい とされる。 日本や韓国などを中心としたアジア向けは総輸出量の6割と、安定的かつ重要な 輸出先となっているが、近年はイギリスなどのヨーロッパ向けも伸びが目立って いる。また、中東や南北アメリカ向けも順調な増加を見せている。 ◇図:チーズの国別輸出割合◇
豪州農業資源経済局(ABARE)が今年3月に発表した短中期的な需給見通しに よれば、今後のチーズ生産はこれまでの伸びを継続し、2005年までに26%も大幅 に増加するとしている。また、チーズの輸出についても生産に比例して25%の増 加と海外市場の拡大を予測している。その要因は、豪州産のチーズに対し高い需 要を持つアジア地域における経済成長で、それに伴いチーズ価格も2005年までに 38%上昇するとしている。
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