◇絵でみる需給動向◇
米国における肥育豚および肥育用の子豚の輸入は、ほぼ100%がカナダからの ものである。近年、為替レートが米ドル高で推移したこともあり、生体豚の輸入 は94年以降急速に増加し、98年には4百万頭を超えた。しかし、99年は前年比0.3 %増の414万頭と前年並みにとどまり、今年第1四半期では98万1千頭と、前年を 1.8%下回った。その内訳を見ると、子豚が一貫して増加する中にあって、肥育 豚は減少傾向で推移している。このため、生体豚輸入に占める肥育豚の割合は、 97年の65%から今年第1四半期には45%へと急速に縮小した。 ◇図:カナダからの生体豚輸入の推移◇
肥育豚輸入の減少は、カナダのと畜処理能力の向上によるところが大きい。カ ナダの食肉処理施設(パッカー)が米国に比べ規模が小さいことなどから、米国 に輸入される肥育豚は、中西部などのパッカーに運ばれ、そこでと畜処理される、 いわゆると場直行豚のケースが多かった。しかし、北米自由貿易協定(NAFTA) の発効を契機に、米国資本をはじめとしてカナダのパッカー部門への投資が相次 ぎ、最新式の大規模工場が本格稼動するなど、カナダのと畜処理能力はこの1〜2 年で著しく拡大した。このため、カナダ国内でのと畜頭数が急増し、結果的に米 国へ輸出する肥育豚は減少することとなった。 これに対し、子豚の輸入増加の要因は、98年以降米国の繁殖経営体の減により 子豚の生産頭数が減少する一方、カナダの子豚供給が潤沢であったことなどが挙 げられる。
米国におけるカナダからの豚肉輸入については、カナダの処理能力向上に比例 して急増し、99年には28万トン(枝肉ベース)と97年および98年に比べ、それぞ れ42%および26%の増加となった。米農務省(USDA)によれば、2000年のカナ ダ産豚肉の輸入も、カナダの豚肉生産が、安価で豊富な飼料穀物と広大な土地を 有する西部を中心に拡大していることから、99年を上回ると見込まれている。こ うしたことから、カナダからの生体豚の輸入が減る一方で豚肉の輸入が増加する という傾向は今後も継続するとみられる。 ◇図:カナダ産豚肉の輸入およびカナダの豚と畜頭数◇
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