◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)は、4月末、豪州食肉家畜生産者事業団 (MLA)との共同調査による四半期ごとのフィードロット飼養動向調査を発表し た。これによると、2000年3月末時点での飼養頭数は57万3千頭と、前年同期比で 3.9%増、前回99年12月期と比べると、10.5%の増加となり、調査開始以来の最高 を記録した99年6月時期の58万頭に次ぐものとなっている。フィードロットの飼 養頭数は、例年12月から3月にかけて、年末出荷分を補うために増加傾向で推移 するが、稼働率を見ると、前年同期を8ポイント上回る69%と例年以上に高い数 値を示している。これは、飼養頭数の増加に加え、フィードロットの集約化が進 んでいることが背景に挙げられる。 ◇図:フィードロット飼養状況の推移◇
フィードロット飼養頭数を州別に見ると、99年12月期と比較して、各州とも増 加しているが、前年同期比では、ニューサウスウェールズ(NSW)州の約13%増、 南オーストラリア(SA)州の16.6%減と、対照的な動きが目立っている。これは、 NSW州で大規模フィードロットを中心に稼働率を高めていることに対し、SA州で は、根本的な素牛不足に加えて他州からの素牛需要が高まった影響により稼働率 が低下しているとの見方がある。 仕向け先では、日本向けは34万頭と前年同期に比べ若干の増加にとどまったが、 韓国向けは1万1千頭と、景気回復に伴う消費増により前年の倍近い水準になって いる。また、国内向けは22万頭と、ここしばらく増加傾向で推移しており、好調 な景気に加えて消費拡大策の浸透が背景にあるとみられている。
豪州最大の輸出先である日本市場における牛肉需要が景気低迷などから多くを 望めない中、今期の日本向け牛肉輸出価格は、豪ドルが円に対して安値基調で推 移しているため、ほぼ例年並みを維持できている。しかしながら、今後の為替動 向、また、活発な生体牛輸出や、牛群の再構築による素牛供給価格の上昇により、 フィードロット各社ではコスト削減が重要な課題となっている。稼働率の上昇に 見られるフィードロットの集約化もこの流れに沿ったものと推測される。 また、フィードロット各社は、新たな市場確保のため、米国などの牛肉需要の 増加に合わせた、売り込みを狙う動きも見せており、今後の動向が注目される。 州別フィードロット飼養頭数 資料:ALFA/MLA「Feedlot Survey」 注:認定フィードロットのみを対象とし、500頭以下の フィードロットを含む
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