EUの牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○微減傾向が続いた99年の牛飼養頭数


総飼養頭数は前年同期比0.7%減

 EU統計局は、99年12月時点のEU15ヵ国における牛の飼養頭数を発表した。これ
によると、総飼養頭数は、前年同期比0.7%減の8,223万頭と6月時点の発表に引き
続き減少した。

 近年、全般的に食肉の消費や乳製品需要が伸び悩む中で、EU域内の牛の飼養頭
数は、96年に問題が発生した牛海綿状脳症(BSE)や、生乳生産割当(クオータ)
制度の影響を受け、95年をピークに下降しつつある。

◇図:EU15ヵ国の牛飼養頭数(各年12月時点)◇


肉用向けは微増、乳用向けは減少

 肉用向けの飼養動向を見ると、BSE発生後に実施した子牛と畜奨励事業の終了、
また、経済成長を背景とする南欧諸国の食肉消費増加に伴う増頭意欲の高まりな
どを受けて、各国とも増加傾向にある。特に1歳以下の子牛については、EU15ヵ
国の動きとして6月時点のマイナスから一転して増加に転じるなど、ここしばら
く続いた減少に歯止めがかかりつつある。

 一方、乳用経産牛の飼養動向については、EUのクオータ制度による各国への生
産割当が実施されている中では、飼養頭数の減少はやむを得ない状況にある。特
に近年、乳牛の改良により1頭当たりの乳量増加が著しくなる中で、生乳生産の
抑制は、必然的に頭数の減少へとつながる。

 EU域内の乳製品需給は、バターなどを中心に過剰傾向にあることから、ここし
ばらくは、飼養頭数増加につながる明るい材料が不足している状況にある。


飼養頭数回復のカギとなる新たな食肉需要

 国別の飼養動向については、飼養頭数が1千万頭を超えるフランス、イギリス
で、乳用経産牛の減少が目立ったものの、肉用向けの増加を背景に飼養頭数は増
加に転じている。一方、ドイツは、乳用経産牛の減少が足を引っ張る形で引き続
き減少となった。

 また、活発な生体牛輸出で飼養頭数を減少させているアイルランドは、EUの増
減にわずかながら影響を与えている。

 そのほか注目される点として、EUの牛肉消費がBSE発生以前の水準に回復した
と見られていることから、スペインなど南欧諸国の食肉消費増加による飼養頭数
の拡大は、EU全体の飼養頭数動向に明るい兆しとなりつつある。

EU主要国の牛飼養頭数(99年12月)
be-eu06.gif (5969 バイト)
 資料:EU統計局
 注1:数値は暫定値
  2:ベルギーにはルクセンブルグを含む

元のページに戻る