◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)によると、2000年第1四半期(1〜3月)の牛肉生産量 (枝肉ベース)は、前年同期比4.0%増の302万トンとなった。これは、と畜頭数、 枝肉重量がともに増加したことによる。と畜頭数は、経産牛が飼養頭数の減少を 反映して前年同期を3.0%下回ったものの、去勢牛が4.2%、未経産牛が4.7%、雄 牛が7.7%といずれも前年を上回ったことから、全体では前年同期比3.3%増の88 4万頭となった。また、枝肉重量も、肥育期間の長期化などにより前年同期比0.8 %増の338kg/頭となり、と畜頭数の伸びと併せて牛肉生産量を押し上げる結果 となった。 ◇図:種類別牛と畜頭数◇
このように、今年に入っても増加のペースが衰えない要因としては、依然とし て牛肉需要が旺盛であることが挙げられる。中でも、ホテル・レストラン部門、 輸出および新製品向けの高級牛肉に対する需要が顕著である。ホテル・レストラ ン部門では、好景気を背景にチョイス級以上の高級牛肉の需要が堅調であるうえ、 輸出市場でも、アジア諸国向けを中心に需要が伸びている。さらに、簡便性を売 り物にした調理済み・半調理済み新製品やオリジナルブランドを冠した銘柄牛肉 の相次ぐ開発により、斉一性のある高級牛肉に対する需要が高まっている。USD Aでは、このような高級牛肉需要の高まりが枝肉重量増加の一因となっていると みている。
こうした需要増を反映して、主要7州におけるフィードロットへの導入頭数は、 99年8月以降前年を上回って推移しており、2000年第1四半期では前年同期比5.9 %増の611万頭となった。特に、当初は子牛生産用に育成されたものの、干ばつ により肥育に仕向けられた更新用未経産牛が多く導入されているとみられること から、800ポンド(約363kg)以上の大型牛の導入割合が高くなっている。このよ うなフィードロットへの導入状況を反映し、牛肉生産は、夏いっぱいまでは増加 基調が継続するとみられる。しかし、USDAでは、3月後半からの降雨で牧草の生 育状態が改善していることなどから、今後は未経産牛の保留が進むとし、牛肉生 産についても、秋以降は減少傾向で推移し、2000年通年では、前年比0.8%減の 1,187万トンにとどまると見込んでいる。 ◇図:体重別フィードロットへの牛導入割合◇
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