◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が4月に発表した世界の穀物需給見通しによれば、99/20 00年度(99年10月〜2000年9月)における世界のトウモロコシ貿易量は、前年度 比1.7%増の7千万トンと見込まれている。これは、中国などの主要国が輸出を伸 ばすとみられることによるもので、94/95年度の7千2百万トンに次ぐ高水準となる。 ◇図:世界のトウモロコシ貿易◇
トウモロコシ貿易を主な輸出国別に見ると、第2位(98/99年度の実績ベース) のアルゼンチンが前年度比8.2%増の850万トン、第5位の南アフリカ共和国が50 %増の150万トンと、いずれも増産により輸出量が増えるとみられる。また、98 /99年度に第3位であった中国は、減産が見込まれるものの、積極的な輸出攻勢 により、前年度の2.5倍に相当する9百万トンの輸出が見込まれ、今年度はアルゼ ンチンを抜いて第2位になるとみられる。こうしたことから、第1位の米国のトウ モロコシ輸出量は、これらの輸出国との競合激化により、前年度を10.4%下回る 4千650万トンにとどまると見込まれている。これに対して輸入は、韓国、台湾、 フィリピンなどのアジア諸国が、経済の回復に伴う需要増から90年代半ばの水準 まで増加するとみられる。
一方、世界のトウモロコシ需給に大きな影響を与える米国では、現在作付けが 進行している。USDAの発表によれば、全米の作付面積の92%を占める主要18州 では、理想的な天候が続いていることから、5月7日現在の進ちょく状況が78%と、 平年の44%を大きく上回る過去最速のペースとなっている。作付けの早期化は、 収穫までのタイムスケジュールを早め、盛夏の降雨不足や秋の霜による被害を避 けられることなどから、従来、収量を増やす傾向にあった。このため、今後の天 候次第では、生産量が上方修正される可能性が生じており、輸出減が見込まれる 中、増産によって在庫積み増しにさらに拍車がかかるのではないかと、関係者は 注目している。 世界のトウモロコシ需給 資料:FAS/USDA「Grains:World Markets and Trade」 注:カッコ内の数値は前年度比
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