◇絵でみる需給動向◇
ドイツ市場価格情報センター(ZMP)によると、99年4月から2000年2月まで のEU15ヵ国の生乳生産量の累計(速報値、乳業メーカーへの出荷ベース)は、前 年同期比1.2%増の1億524万2千トンとなった。 国別に見ると、デンマークが前年並みとなっているほか、99年5月のダイオキ シン汚染問題で影響を受けたベルギー以外の13ヵ国で前年を上回っている。 EUの生乳生産量(4月〜翌年2月) 資料:ZMP 注:99/00年度の数値は速報値
EUの生乳生産は、生乳生産割当(クオータ)制度(国別に生産枠を決め、これ を超過した場合には課徴金を課す制度:適用年度は4月から翌年3月)により、コ ントロールされている。しかし、毎年半数以上の国がクオータを超えた生乳生産 のため課徴金を課されていることは、生産調整の難しさを示している。 99年3月に合意された共通農業政策(CAP)改革に基づき、2000年4月から、ス ペイン、ギリシャ、イタリア、イギリス(北アイルランド)、アイルランドでク オータの拡大が認められた。このことも関係国の生産状況に影響を与え、結果と してEU全体の生産増加の要因の1つとなったとみられている。
ただし、2000年に入って年度末を間近に控え、課徴金の支払いを回避する動き が見られる。酪農家間のクオータの取引・貸与に関する仕組みは各国で異なるが、 いくつかの国でこうした取引等を一時的に制限することで、生産抑制を図ってい る。加えて、近年、中小酪農家の廃業などにより大規模酪農家に生産が集中して きていることも、迅速な生産調整の実施を可能なものとしている。 こうした中、2000年2月の生産は、98年7月以来20ヵ月ぶりに前年を下回った。 3月にはさらに減少幅が拡大するとみられている。この結果、最終的には99/ 2000年度の生産量は、わずかに前年を下回る水準に落ち着くとの見方もある。
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