◇絵でみる需給動向◇
ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)によると、99/2000年度上半 期(99年6月〜99年11月)の生乳生産量は、前年同期を9.5%上回る56億2千万 リットル、乳固形分換算で46万1千トンとなった。 好調な乳製品輸出を背景に、経産牛頭数、1頭当たりの乳量ともに着実な増加 をみせている。下半期の生乳生産も前年度を上回る勢いで推移していることから、 今後、乾乳期を迎え減少が見込まれるものの、過去最高を記録した97/98年度の 106億5千万リットルを更新するのは確実となっている。 上半期の生乳生産を地域別に見ると、酪農生産の中心地となる北島では、乳固 形分換算で前年度比1.4%増の37万6千トンとなり、NZ生乳生産量全体の約81%を 占めた。また、増産傾向が著しい南島では、同じく乳固形分換算で前年度比17.1 %増の8万5千トンと大きく躍進した。両島とも下半期に向けて、なお一層の増産 が期待されている。 ◇図:生乳生産(上半期:6月〜11月)の推移(乳固形分換算)◇
国内での乳製品消費が生産量の1割にも満たないニュージーランドでは、輸出 の増減が直接、乳製品の生産動向に大きな影響を及ぼすことになる。アジア向け を中心とする輸出増を背景に、99/2000年度上半期の乳製品の増産は、生乳生産 を押し上げる原動力となっている。 主要品目別の生産動向を見ると、バターは前年度比8.8%増の17万4千トン、全 粉乳は13.1%増の16万8千トン、チーズは12.9%増の12万5千トン、脱脂粉乳が13 .2%増の12万トンとバターを除きいずれも2ケタの伸びを見せている。 また、アジアや中東諸国をはじめとした需要国の強いオファーにより、脱脂粉 乳、全粉乳ともに輸出市場向けは強気で推移しており、乳製品生産への大きな追 い風となっている。
ニュージーランド酪農乳業界における業界再編の一環として、2大乳業メーカ ー(酪農協)を中心に進められていた巨大乳業メーカーの設立計画は、両社の思 惑の違いから、現在、暗礁に乗り上げている。このような中、国内の動きとは別 に、先日発表されたニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)と豪州大手乳 業メーカーとの新会社設立の動きや、豪州乳業メーカーに対するニュージーラン ド側の積極的なアプローチなど、国境を越えて輸出競争力強化を目指す新たな動 きが進展しつつある。
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