米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○堅調に推移した99年の牛乳乳製品消費


好景気を反映して3%超の増加

 米農務省(USDA)によると、99年の牛乳乳製品消費量(政府の国内向け無償
供与部分を除く商業消費(購買消費)量)は、乳脂肪ベースの生乳換算値で7,4
79万トンと前年を3.2%上回った。このような消費の増加は、好景気に支えられ
て需要が極めて旺盛であったことによる。99年の実質国内総生産(GDP)成長率
が4.1%と景気の拡大局面が続く中、消費者は、旺盛な購買意欲を有し、食料品
価格にも寛容であるとされている。牛乳乳製品消費は、こうした消費者心理を追
い風として94年に次ぐ高い伸びを記録することとなった。USDAでは、2000年の
消費について、前年比3.1%増と99年並みの増加を予測している。

◇図:牛乳乳製品消費量の推移◇


チーズとバターが顕著な伸び

 99年の消費を製品別で見ると、チーズ、バターなどの乳脂肪消費の伸びが顕著
となった。中でも、チーズは、チェダーチーズをはじめとするアメリカンタイプ
が前年比7.4%増、モッツァレラチーズに代表されるアメリカンタイプ以外のも
のが5.6%増と、いずれも近年では最高の伸びを示した。また、バターは、前年
比7.0%増と過去40年来で最大の増加幅となった。こうした動きについて、USDA
は、消費者の間で、ピザなどの外食機会や、総菜などの簡便な加工食品の利用が
増加するのと軌を一にしたものと分析している。これはまた、飲用牛乳やカッテ
ージチーズなど、家計消費を中心とした小売部門に依存する製品の消費が、前年
並みか前年をわずかに上回るにとどまったことからもうかがえる。

◇図:乳製品の消費量◇


低調に終わった無脂乳固形分の消費

 一方、99年における無脂乳固形分の消費は、脱脂粉乳が前年比8.9%減と3年
連続して減少するなど、価格が比較的低水準であったにもかかわらず、概して
低調に終わった。部門別では、業務用の不振が目立っている。無脂乳固形分は、
90年代前半、消費者の低脂肪嗜好の強まりとともに、飲用牛乳やアイスクリー
ムなどへの原料用を中心に需要が急増した。しかし、こうした「低脂肪ブーム」
の沈静化に対応して、無脂乳固形分の消費も、ブーム以前の水準に戻っている。
このため、牛乳乳製品消費量を、無脂乳固形分ベースの生乳換算値で見ると、
6,198万トンと前年比1.2%増の伸びにとどまることとなった。

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