米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○急騰した肥育豚価格


4月は前月比6ドル高の49.3ドル

 米農務省(USDA)によると、2000年4月の肥育豚価格(全米平均取引価格)は、
前年同月比55.4%高の49.3ドル/100ポンド(116円/kg:1ドル=107円)となっ
た。肥育豚価格は、生産増を受けて98年には記録的な水準にまで暴落したが、99
年は回復基調を維持しつつ30ドル台半ばで推移した。しかし、99年12月以降は一
貫して上昇を続け、2000年4月には前月から一気に約6ドル上昇する動きを見せた。

◇図:肥育豚価格の推移◇


供給減とベーコン需要増が急騰の主因

 肥育豚価格が50ドル近い水準まで急騰したのは、飼養頭数の減少に伴ってと畜
頭数が減少した一方、ばらを中心に豚肉需要が堅調に推移していることによる。
ファストフードなどの外食業界は、好景気を反映して消費者の外食機会が増加す
る中、サンドイッチや朝食メニューの食材として、ベーコンを積極的に採り入れ
ている。このため、ベーコンの原料となるばらの卸売価格は、99年9月以降前年
を上回る水準で推移し、2000年4月には前年同月比89%高の93ドル/100ポンド
(219円/kg)と、著しい上昇を示した。また、生産者団体である全国豚肉生産
者協議会(NPPC)がこの4月、ベーコンとレタス、トマトとの組み合わせを核に
した消費拡大キャンペーンを全国展開するなど、こうしたベーコン人気を後押し
している。

◇図:豚肉の卸売価格◇


秋口までは40ドル台後半で推移か

 USDAでは、肥育豚価格の今後の見通しについて、豚肉生産が前年割れで推移
し、かつ、季節的にも減少するとみられることから、秋口までは40ドル台後半で
推移するとしている。その後、生産が季節的にピークを迎える11月後半から12月
初旬にかけては、40ドル台前半まで値を下げるものの、牛肉の減産からレッドミ
ートの供給減少が見込まれること、景気拡大が継続するとみられることなどから、
USDAは、2000年平均では、前年より3割程度高い43〜46ドル(101〜109円/kg)
となると見通している。

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