過去最高の99年アルゼンチン家きん肉生産


生産は過去最高の約90万トン

 アルゼンチンの家きん肉生産は、91年の兌換(だかん)法導入(1ドル=1ペソ
での通貨交換を保証する実質的な固定相場制などを採用)以降、経済の安定化に
伴う投資の増加により、生産設備や処理加工施設の近代化が進んだことから、増
加傾向で推移している。

 アルゼンチン農牧水産食糧庁が先ごろ発表した報告書によると、99年の家きん
肉生産量(可食処理ベース(骨付き):推計値)は、と鳥羽数の増加に加え、1
羽当たりのと体重量が前年比3.0%増の2.75kgと増加したことから、前年比5.7%
増の90万4千トンと過去最高を記録した(家きん肉生産のうち98〜99%が鶏肉と
推測されている。)。


輸出入はともに前年比減

 99年の家きん肉輸入量(調製品を含む。)は、99年1月の通貨切り下げにより
競争力を持ったブラジル産冷凍鶏肉が低価格で輸入されたものの、国内生産が引
き続き好調であったことから、前年を16.5%下回る5万5千トン(生産量の約6%
を占める。)となった。このうち99%がブラジルからの輸入である。品目別内訳
は、丸どりが85%、骨付き部分肉が12%、その他が3%である。同年の家きん肉
の輸出量(調製品を含む。)は、前年比5.0%減の2万4千トンとなった。輸出先
は、中国と香港が全体の約6割を占める。


価格低下を反映し伸びる消費

 99年の1人当たりの家きん肉消費量は、前年比8.0%増の25.7kgに達した。アル
ゼンチン農牧水産食糧庁では、近年の鶏肉業界におけるインテグレーションの進
展により、生産コストが低下したため、実勢価格の低下した国産鶏肉への需要が
増加したとしている。

アルゼンチンの家きん肉需給動向
arzentin.gif (2974 バイト)
 資料:アルゼンチン農牧水産食糧庁

 99年の鶏肉(丸どり)価格は、卸売価格(税抜き)が前年比16.7%安の1.15ペ
ソ(約123円:1ペソ=107円)/kg、小売価格(税込み)が13.0%安の2.07ペソ
(約221円)/kgとなった。報告書では、卸売価格の低下率が小売価格の低下率
より大きいのは、処理加工業者に対するスーパーマーケットの交渉力が強まった
ためとしている。また、99年(1〜11月)の農畜産品の卸売物価指数は、前年同
期比で17.3%の低下となり、99年の鶏肉卸売価格の低下率とさほど変わらなかっ
たが、99年(1〜11月)の食料および飲料の消費者物価指数は、前年同期比で3.5
%の低下にとどまったとし、99年の鶏肉小売価格の低下が顕著であったことを示
唆している。

 なお、鶏肉と競合する牛肉の99年における1人当たりの消費量(枝肉ベース)
は、前年より約5%増加し、63kgと持ち直したものの、鶏肉価格の優位性やスー
パーマーケットの店舗増により食肉をはじめ食品の多様化が進む中、牛肉業界の
販売促進に向けた取り組みがまだ不十分であるとの指摘も少なくない。

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